訃報

小澤征爾への思い

小澤征爾が死んだ。88歳。予想されていたことであったため、記事が用意されていたということもあるのだろう。どの新聞も扱いは破格。特に毎日新聞は、第一面のトップ記事だった。 昨年末に放映されたクラシック音楽界のまとめ番組で、ジョン・ウィリアムス…

野口剛夫氏と佐村河内守

東京に出かける前日、新聞で野口剛夫という人の訃報を目にした。音楽学者、作曲家、指揮者だとある。私はよく知らない人だ。作曲家・別宮貞雄(べっくさだお)に師事し、後に養子になったという経歴も特異なものとして印象的だったが、2013年に佐村河内…

外山雄三氏を惜しむ(2)

私が、一応中国近現代史の研究者もどきで、冼星海(しょうせいかい 1905~1945年)という人物に関する研究で博士号を取得し、『中国で最初の交響曲作曲家 冼星海とその時代』(アルファベータブックス、2017年)という著書があるということは、…

外山雄三氏を惜しむ(1)

今日の新聞各紙に、作曲家・指揮者の外山雄三氏の訃報が出た。亡くなったのは11日で、92歳だった。1989年から2006年まで、17年の長きにわたって仙台フィルの音楽監督を務めておられたことなどあって、その演奏に接する機会は多かった。 ふと気…

金子みすゞの娘!?

先週の土曜日(11月19日)、毎日新聞で上村ふさえという人の訃報を目にした。95歳で亡くなっている。全然知らない名前なのだが、「童謡詩人・金子みすゞの長女」という言葉が目に入った。えっ!?金子みすゞって結婚してたんだっけか?私は軽く驚いた。…

エリザベス女王

昨夜、エリザベス女王が医師の管理下にある、チャールズ皇太子夫妻は既に駆けつけ、その他の親族も女王の下に向かっている、というニュースを見た。そして、今朝起きたら既に亡くなっていた。96歳ともなれば仕方がない。即位70周年の式典に、自らの在位…

佐藤陽子、そしてブロムシュテッド!

今朝の朝刊で、佐藤陽子が死んだことを知った。ヴァイオリニストで声楽家、エッセイストという多才な人だ。おそらく、まだ私が学生だった頃、何という番組だったか憶えていないのだが、テレビをつけるとこの人が映っていた。スタジオでモーツァルトのヴァイ…

仙台と野島稔氏

日曜日のクラシック音楽館で、ピアニスト野島稔氏の演奏を少しだけ見た。クリストフ・エッシェンバッハが指揮した最近のN響定期演奏会録画が終わった後、いわば余白の部分で、わずか15分くらいだけ、氏が高校時代にリストの「鬼火」を弾いている白黒映像…

大町陽一郎氏と原田泰治氏の訃報

昨日の朝日新聞で、指揮者・大町陽一郎氏の訃報を見付けた。かなり大きなものだ。風の便りというのだろうか?不思議なことに、1~2週間ほど前、突然、私の心の中に「そういえば大町陽一郎さんって死んだんだっけか?」という疑問が浮かんだ。何のきっかけ…

西村賢太氏の訃報について

(2月17日付「学年主任だより№35」より②) 2月6日の新聞で、西村賢太という小説家の訃報を見付けた。あれ?どこかで聞いたことのある名前だな・・・あぁ、そうだ!と思い出したのは、5月19日付「学年主任だより№6」の裏面に貼り付けた西村氏のイ…

ハイティンク

オランダの指揮者ベルナルド・ハイティンクが死んだ。92歳。その数日前には、スロヴァキア出身のソプラノ歌手、エディタ・グルベローヴァが死んだ。こちらは74歳。どうも人が死ぬ話が多い。 グルベローヴァは、私の中でも有名だった割に、我が家で録音を…

届いた遺書・・・阿部哲男先生の訃報に接して

一昨日未明、私が名取第一中学校に在籍していた時の恩師、阿部哲男先生が亡くなった。多分80歳であったと思う(81歳かも)。まだ河北新報にも訃報が出ないが、まったくの偶然、私の現在の勤務先に先生の甥御さんがいらっしゃるため、私はそのことをいち…

寄生虫博士が教えてくれたこと

(7月1日付け「学年主任だより№12」より①) 早くも7月。求人票の公開が始まる。 ところで、先週、「学年主任だより」を配布した6月23日は、沖縄戦の終結記念日であった。なぜ先週そのことに触れなかったかと言えば、本当に恥ずかしいことに、忘れて…

寺内タケシと塩釜

(6月23日付け「学年主任だより№11」より) 考査終了!ご苦労様。その間に梅雨入りがあり、夏至があった。暑くはないものの、少し空気がねっとりしてきた。あさって(体育祭)は晴れますように。 日曜日の新聞各紙に、寺内タケシ氏の訃報が載った。ブル…

「死ぬ」ということ

2月来、身近な人が立て続けに何人か亡くなった。3月11日は、堀亨さん。享年わずか63歳(私より4歳上か?)。「病気療養中」だったらしい。 宮城県の支援学校の教員を長く務めてきた。私は、教職員組合の教育研究集会を企画・運営する場での付き合いだ…

猫に小判か?金言か?

(2021年1月20日付け「学年だより№77」より①) 1月12日、歴史作家の半藤一利氏(90歳)が亡くなった。この「学年だより」でも、人の生き方というものを考えるきっかけとして、今までに何度か訃報を引用したのだが、半藤氏の訃報は全て大きすぎ…

権力がすること

3~5月のコロナ休校の余波で、冬休みも短縮になり、今日がようやく2020年の授業納め。授業が終わらないと年末という感じがせず、今日授業が終わって6日後には大晦日となると、ずいぶん切羽詰まった感じがする。ずいぶんドタバタの生活をしてきて、家…

最後はトリアージ

フランスの元大統領・ジスカール・デスタン氏が亡くなった。死因は新型コロナウィルス(COVID-19)による感染症だという。とは言え、御年94歳。死因を本当にコロナとしていいのだろうか?この訃報に接して、人は「やっぱりコロナは怖い」と感じるのだろう…

林原健氏を悼む

10月15日の新聞で、林原健氏の訃報を見つけた。享年78歳。岡山市にある「林原」という会社の元社長である。「林原」という会社は、私くらいの年齢(50代後半)であれば「カバヤ」と言えば誰でも知っている。いわば「お菓子屋さん」である。粉飾決算…

「向上」を目指す究極の姿

(9月23日付け「学年だより№62」より①) (冒頭に9月15日付け毎日新聞「杉村隆氏の訃報」貼り付け。ただし、配信記事らしく、河北でもまったく同じ。) 9月15日の朝刊を読んでいて、左の訃報が目に止まった。杉村氏が最近までご存命であったとは…

山本直純のこと(番外)・・・小尾旭氏の訃報に接して

先週の木曜日、7月30日の朝日新聞で、小尾旭(おび あきら)氏(90歳)の訃報を目にした。2ヶ月前なら絶対に気に留めなかった小さな訃報である。というのも、記事にもあるとおり、小尾氏は山本直純のマネージャーを長く務めた方で、先日、私が山本につ…

石田秀実さんのこと

先日、我が家の書架で本を探していて、探していたのとは違う1冊の本に目が止まった。『気・流れる身体』(平河出版社、1987年)という本だ。著者は石田秀実さん。私が学生時代、研究室の助手だった方である。出版された時期も、ちょうど私が大学院前期…

図らずも終刊

(2月28日付け「学年だより№40」より) 先週土曜日の新聞で、右のような訃報が目に止まった(ブログ用の注:2月22日河北新報の池田正穂氏訃報貼付。そこに、事件の概略も書かれているので、以下は記事にない点についての補足)。諸君は「第五福竜丸…

追悼マリス・ヤンソンス

11月30日に、指揮者マリス・ヤンソンスが死んだ。76歳。指揮者としては今からの10年間が円熟の時期だったのに。惜しい。 ただ1度、仙台でヤンソンス指揮の演奏会に行った時の話はかつて書いたことがある(→こちら)。ヤンソンスが曲とオーケストラ…

おい、そこが分岐点だよ

(12月12日付け「学年だより№30」より) (冒頭に12月6日付け河北新報コラム「河北春秋」貼付) 先週の水曜日、アフガニスタンで現地の人々の生活支援をしていた医師・中村哲氏が殺された。特別な地位を持っているわけでもない個人の死が、これほど…

話せば分かる、か?・・・中村哲氏を悼みつつ

医師の中村哲氏が殺された。今手元にないので何という文章だったか確かめられないが、高校現代文の教科書に、氏自身の文章が載っていて、私は中村哲という人物を知った。すごい人だと思った。医師だという共通点があるからかも知れないが、佐久総合病院の故…

人類初の宇宙遊泳

(10月21日付け「学年だより№23」より) 1969年7月20日、人類は初めて月面に降り立った。今年はそれから50年目に当たる。7~8月、私はそれにちなむ幾つかの特集番組を見た。いずれも人間が一つの限界を突破し、新しい領域に踏み込んだこと…

嗚呼、金田正一!・・・または宮城球場の思い出

一昨日、金田正一が死んだ。私がわざわざ書くほどのことでもない。どの新聞でも、2面、3面を使って大々的に報じていた。そりゃぁそうだろう。投手の起用方法がすっかり変わってしまったということもあって、400勝、5526投球回、4490奪三振など…

エリシュカの死

昨日の新聞(朝日・毎日)で、今月1日にラドミル・エリシュカが亡くなったことを知った。88歳。チェコの指揮者で、日本との関係では札幌交響楽団名誉指揮者。この人については、昨年の春に一文を書いたことがある(→こちら)。いま、何かを付け加えること…

野坂操寿と伊福部昭

8月28日の朝日新聞で、野坂操寿(恵子)氏の訃報を見つけた(他紙は翌日)。81歳。箏の演奏家である。私にとっては、伊福部昭の音楽の独奏者として有名。 木部与巴仁(きべ よはに)も『伊福部昭の音楽史』(春秋社、2014年)において、「1990…