2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

悩ましき完了形

1年生の授業で『土佐日記』をやっていた。予習していて私が悩んだのは、「年ごろよくくらべつる人々なむ」という一節である。悩んだ結果、何か立派な発見をしたというのではないが、どのように悩んだかを書いておこうと思う。 私が古典の予習をする時に使っ…

一粒の牡蠣の背後に・・・

冬将軍がやって来た。朝起きると、外は真っ白。ああ、今日は出勤しなくていいようにしてきてよかった、とつくづく思った。石巻は真冬日を記録した。最低気温もマイナス4度を下回ったらしい。窓ふきや網戸洗いなど、外仕事をしようと思っていたが、少し晴れ…

もう山には行きたくない

日参している塩釜神社でも、ついに「謹賀新年」の看板が出た。そこで、というわけでもないが、年内の出勤は今日で終わりにした。新人大会や修学旅行の振り替えを使うことは義務だという。休暇を取れば、学校にいる時の自分の首を絞めるだけなので、休まない…

「進んでいいか退いていいか」

前回(→こちら)引用した第40回、「迷っているから自分で自分がわからなくなってしまったので、私に公平な批評を求めるよりほかにしかたがない」というKの言葉の後は次のように続く。「私はすかさず迷うという意味を聞き出しました、彼は進んでいいか退い…

念願かなって新垣隆

今日は、午後から、娘と二人で新垣隆さんのクリスマスコンサートというのに行った(石巻市鹿又のN's−SQUARE)。主催が誰かは知らないが、市内の楽器店で無料の整理券を配布していたので、2枚もらったのである。 新垣隆とは、あの佐村河内守のゴース…

平成59年までにM9の巨大地震?

特に何の脈絡もなく、正に「日常」について三つ書く。 夏休みに、教員免許更新講習というのを受けに行った話を書いた(→総論、p4c、おしょろ丸。それらの大学から修了証というのが届くのを待って、県に更新申請をしたところ、忘れた頃になって「更新講習…

「公平な批評」を求める切なさ

しばらく中断していたが、夏目漱石「こころ」についての話を書き足す。(→前回はこちらから3日間) Kと「私」は同郷である。実家が真宗の寺で、次男であったKは、医者の家に養子に出されたが、養家を裏切ることで、養家から離縁されただけでなく、実家か…

やっぱり無理、バイオマス発電所

昨晩は、「(仮称)石巻港バイオマス発電事業 環境影響評価方法書の説明会」というのに出席していた。12月12日の新聞に折り込みで入っていたB4版の広告を見て知ったのである。主催者は株式会社レノバ バイオマス事業部だ。なにしろ、日本製紙がよく分…

東大の大学院生・・・新入試考

もうひとつは、新しい大学入試である。12月6日の新聞に、その問題やら、採点システムに関することやらが載っていた。なるほど、努力はしているなぁ、と思ったが、記述式の採点システムなど、まったく問題のない運用ができるとは思えない。私も、試験の採…

NHKの受信料

修学旅行の前後に報道された二つの社会問題について、今更ながら触れておきたい。 ひとつはNHKの受信料問題である。12月6日に最高裁判決が出て、受信料の徴収は合憲であり、契約は法的義務であるとの判決が確定した。憲法との関係で言えば、どのように…

傍目八目、または古典四重奏団と晩年の境地

昨日、国連安全保障理事会では北朝鮮の国連大使とアメリカの国務長官が、直接罵り合いに近い対話をしたらしい。日本の外務大臣も、北朝鮮に対してかなりストレートに厳しい物言いをしたようだ。北朝鮮の反応は言わずもがな。 学校において、私でも他の教員で…

震災後の「命の森」・・・ラボ・トーク第9回

昨夜はラボ・トーク(→説明)第9回だった。今回の話者は、石巻専修大学准教授、環境調査、生態系保全修復技術の専門家・玉置仁(たまきひとし)先生。2006年に文部科学大臣による若手科学者賞を受賞したという、石巻専修大学の誇る気鋭の学者である。演…

修学旅行(3)・・・USJの裏番組

3日目、バスで着いたUSJはごった返していた。教員は特別することがない。巡回指導ということにはなっているが、ただ園内をうろついていても何になるわけでもない。私以外の教員は自分の携帯電話を持っている上、担任には旅行用のレンタル携帯まで貸与さ…

修学旅行(2)・・・充実の自主研修

2日目は自主研修だった。生徒が班ごとに京都市内をうろうろしている間、教員は何をしているのかなぁ、と思い、夏休みが終わった頃に、某教員にこっそり尋ねてみると、「たぶんフリーになると思うよ」と言われた。私は大喜びしたのだが、まだまだ勝手の分か…

修学旅行(1)・・・やっぱり発達障害

修学旅行に行っていて、昨夜帰宅した。3泊4日、奈良・京都・大阪という定番中の定番である。塩釜高校は1学年10クラスという大規模校だが、うち2クラスのビジネス科は沖縄なので、普通科8クラスでの旅行である。高熱を発して病院に行った生徒なども出…

エルサレムと大道芸

今年の2月に、トランプ大統領がイスラエルのアメリカ大使館をエルサレムに移す、すなわち、エルサレムを首都と認めると言いだした時、私はたいへん強い危惧を感じ、一文を書いた(→こちら)。効果はてきめん(笑)!その後その話はうやむやのままに消えてい…

飯森範親氏に感服する

日曜日も仙台だった。東北文化学園大学主催の第九コンサートである。事前に往復はがきで整理券を入手すれば無料だが、大学オケではない。飯森範親指揮の仙台フィル、独唱者もプロである。合唱だけは岩手・宮城のアマチュア合唱団寄せ集めであるが、仙台フィ…

中村桂子さんの公開授業

『こころ』について、もう少し書こうと思っていたのだが、一時中断。 土曜日は仙台に中村桂子さんの公開授業というのを見に行っていた。中村さんというのは、高名な生命誌研究者である。もっとも、「生命誌」という言葉自体が「高名」でないので、「高名な生…

『こころ』の「逆襲」(続)

昨日は、『こころ』(下)「先生と遺書」第37回で、「私」すなわち「先生」が、Kからお嬢さんに対する恋の告白を聞かされた時、その場で「逆襲」すべきだった、と後悔していたことを問題にした。そして、第41回に出てくる、「復讐以上に残酷な意味」す…

『こころ』の「逆襲」

せっかくなので、今回『こころ』を読んでいて発見したこと、今までになく気になったことなどを、少し書き留めておく。なにも「オリジナルな発見」と誇るつもりはない。むしろ、多くの読者の方から見れば、「ふん、何を今更」というようなことかも知れない。…

新聞連載小説『こころ』の授業

10月以来、2年生の現代文の授業で夏目漱石の『こころ』をやっている。2単位の授業だし、行事等でつぶれることもたびたびなので、なかなか終わらないまま、考査も修了。今使っている教科書には、新聞連載小説であった『こころ』の12回分が載っている。…