2006-01-01から1年間の記事一覧

世界のイノウエ

(東北大学教育研究振興財団広報誌「樅の木」第12号より編集後記引用) 大学選択に関してもう一つ触れておこう。これは決して諸君への当てこすりではないが、いろいろと考えて欲しい人がいるのも確かなので・・・。 地元・東北大学の総長が替わった。新総長・…

ファッションデザイナーへの道

今月、珍しく(?)、教員としての私にとても喜ばしいニュースが二つあった。どちらも前任校で受け持った生徒に関わることである。ひとつめは、S君がドーハで開かれたアジア大会ボート競技男子軽量級ダブルスカルで優勝したというニュース。もうひとつは、…

受験と団体競技

センター試験まで残り60日を切ったところで、とうとう全員受験の最後の模試も終わってしまった。プレッシャーの日々大きい時期ではあるが、「逃げ」て「自滅」するほど愚かなことはない。 ところで、最近教室の様子を見ながら、私の頭にふと浮かんだことが…

未履修問題緊急全校集会に思う

一高の不祥事とやらで急遽開かれた異例の全校集会は、「不祥事」をあえて棚上げにさせてもらって言えば、とても面白かった。思えば、日頃、学校のあり方について生徒と校長が公に意見を交わす機会などというものはない訳だから、あのように生徒からの質問が…

おおらかな時間

先週の金曜日、私は榴ヶ岡駅発18:24の普通列車に乗って、はるか石巻の我が家を目指した。本塩釜駅で、妙に停車時間が長いなあと思っていた所、「停止信号」である旨の車内放送が入ったので、何かまずいことになったな、という気がした。やがて、その原…

懐の深い社会・・・少年院見学記

先週月曜日の午後、私は出張で学校を不在にした。高校の特別活動研究会という組織の研修で南小泉は古城にある少年鑑別所と女子少年院の見学に行ったのである。 少年鑑別所とは、家庭裁判所で審判を受ける少年(容疑者)を一時的に拘留し、少年の心理状態等を…

時間は客観的なものではない

先週木曜日に行われた「センター試験まであと100日セレモニー」はとても面白かった。突然、担任から一言をと言われ、何も準備していなかった私は、通り一遍のことしか言えず、申し訳なかった。少し補足(?)をしておこう。 100日=2400時間=14…

左手のピアノ

先週金曜日の夜、仙台フィルの定期演奏会に行った。この日の目玉は、舘野泉(70才)がソロを弾くラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」である。 マニアックな話と思ってはいけない。舘野泉は最近、民放といわず、NHKといわず、相次いで特集番組が作ら…

制度の力と人間の力

土曜日は教育基本法改悪反対集会なるものに出た後、県庁〜一番町〜仙台駅とデモ行進に参加した。私一人が参加してどうなるものでもない、と思いつつ、しかし、みんながそんな気持ちで何もしなければ、結局、力ある者の為すがままの世の中になってしまう、そ…

岡崎高校に学ぶ

考査の初日、この数年恒例となった仙台一高教員研修会というものが行われた。例によって私は、受験などということを天下の大問題のように考える気にはなれないなぁ、しかもそれを人生の問題としてではなく、数字の問題、ビジネスとして扱っていそうな雰囲気…

自然と人間

『自然と人間』というタイトルの村上陽一郎氏の文章を「現代文」の授業で扱い、この文章は1991年当時としては、なかなか新鮮な問題提起を含む文章だった、などと説明したことに、軽い後悔を感じている。 思えば、環境問題は、それをひとつの「知識」と考…

村で頭角を現す・・・若月俊一氏のこと

(8月23日朝日新聞 若月俊一氏訃報引用) 先週水曜日の各紙が、ほとんど写真入りで大きく若月俊一氏の死を報じた。諸君の中に知る人はいないであろうこの人のことを、私は岩波新書『村で病気とたたかう』(若月俊一著)と同『信州に上医あり』(南木佳士…

学ぶことの基本姿勢(予備校研修の感想)

8月8〜9日、東京の某予備校で、某人気講師の教員向け講座に出席した。入試云々というだけではなく、予備校の古典の授業を知りたくて自ら希望して行ったのである。授業そのものについては、何も特別なことが行われていなかったように思うが、そのことが分…

青蔵鉄路と成績表をつなぐもの

昨年10月11日、このプリントの裏面に、中国・チベットに通ずる鉄道の建設が順調に進み、2007年7月には開通しそうだとの新聞記事を印刷した。その時私は、自分が10年あまり前にチベットを訪ねた時、建設不能として工事が中断されていたこの路線が…

自然の風景

先週の水曜日は夏至であった。一年で最も太陽の出ている時間が長い日だというのは言うまでもない。私のような長時間通勤者にとって、朝起きた時も、そして帰宅した時も明るい季節というのはありがたい。特に、何がいいかと言えば、電車に乗っていて外の景色…

テクノロジーと人間

先週、夏休み直前に出すPTA会報の原稿としてアンケートに応じて欲しい、と紙を渡された。見れば「座右の銘」を書け、とある。さんざん考えたあげく、「座右の銘」が何か悩むということは、そもそも「座右の銘」がないということだと観念し、かといって、…

御坂峠のおかみさん

(6月9日河北新報 外川ヤエ子氏訃報引用) 河北新報以外では目にしなかったが、写真もないこんな小さな訃報に目が止まった。私も知らない人物であったが、見出しに気を引かれて目を通し、あぁ、あの人か、と思った。諸君も1年生の時「国語総合」の授業で…

目から鱗の教採講座

土曜日は、とある縁により、教員採用試験対策講座なるものに呼ばれ、「小論文の書き方」なるお話をしてきた。県内の小中高校で講師をしている人達が40人ほど出席していた。若い女性が多くて少しドキドキしたが、それはともかく、内職も居眠りもない教室で…

東北大学入試説明会の納得と不思議

先週木曜日の夕刻、仙台二高で、東北大の入試説明会があった。市内のナンバースクール限定ということだったので、何かよほど特別な話でもあるのかと思い、出席したが、通り一遍の内容でしかなかった。ただ、中でひとつ、なるほどと納得もし、不思議にも思っ…

定期戦余話・・・恐るべし阪神ファン

もはや先々週の話となった定期戦の時のことである。私は応援団の顧問ということで、後片付けも一切終わった球場に、生徒指導部長のS先生と共に残り、楽天の球場担当者のチェックを受けた。試合が終わった後、椅子拭きまでやってくれたOBを始めとする諸君…

オボコンベ

週末の二日間は、久しぶりで山であった。土曜授業が始まったために、我が山岳部は、午後から行ける山探しに四苦八苦している。そして今回目指したのは、川崎町にあるオボコンベという変な名前の、たった595mの山である。今回登った最高峰は711mの桐…

春の夜の夢・・・短縮授業からの発見

土曜日に授業をするのと引き替えに、1校時が50分化され、それによって「短縮授業」なる技が登場した。言うまでもなく「縦割りHR」など、特別な活動時間をカットなしで捻出するために、その日だけ45分にするというものである。 諸君がどう感じているか…

最後の桜

先週末は仙台市内で桜が満開だった。何かにつけて天の邪鬼な私は、葉が出る前に花だけが大量に咲く「ソメイヨシノ」という日本の桜の代表種があまり好きではない。桜で最も美しいのは、高山に咲く「ミネザクラ」であると固く信じている。しかし、生徒指導部…

ティンジャン(ビルマ正月)

先週の日曜日、私は日帰りで東京に行った。きっかけは友人である亡命申請中ビルマ人からの電話である。「4月9日はビルマのお正月で、在日ビルマ人がお祭りをします。私は、亡命申請が受け入れられなければオーストラリアに行くことになるでしょう。そうな…

採点の苦しさと日本語の豊かさ

先週は休刊にしたところ、この二週間の間に、考査があり卒業式があり、そして高校入試があった。 高校入試はある意味で面白く、とても勉強になる。日頃、考査の採点に私が煩悶していることは諸君も知る通りであるが、入試の採点は、国語科の全てのメンバーが…

冬季オリンピックの号外

先週の金曜日、所用で街へ出ていて、多分、生まれて初めて「号外」なるものをもらった。女子フィギュアスケートの金メダルである。私は、メダルなんかもらわなくても、「世界で10位」とか「日本代表」というだけで十分尊敬に値すると思っているので、メダ…

推定無罪の原則

ホリエモンこと堀江貴文氏が逮捕されてから、もう10日余りが過ぎてしまった。逮捕の直後から、マスコミでは堀江批判が繰り広げられているのは周知の通りだ。それまで若手起業家のエースであり、既成の権威に対する批判的な力としてチヤホヤしていた多くの…

大きな人間が育たない

週末は久しぶりに部活で山へ行っていた。この寒いのにテント持参。−10℃の冷え込みに、がたがたと震えながら長い夜を過ごした(学校の先生も大変ですね)が、昨日はなかなかの好天に恵まれ、寒い夜に耐えたストレスも何とか報われた。 例によって、同行して…