オボコンベ



 週末の二日間は、久しぶりで山であった。土曜授業が始まったために、我が山岳部は、午後から行ける山探しに四苦八苦している。そして今回目指したのは、川崎町にあるオボコンベという変な名前の、たった595mの山である。今回登った最高峰は711mの桐の目山なのだが、オボコンベの方が名前も面白いし、まるでポリープのような特異な形状から「怪峰」と呼ばれることも多いので、目的地は「オボコンベ」というわけだ。

 低いとはいえ、地図に道がない。しかも、登山口にたどり着くまでに、最寄りのバス停である秋保大滝から、これまた地図に道のない山を越えなければいけない。決してあなどれる山ではないのである。かくして2日間、ひたすら地図とにらめっこを続け、時には藪を漕いだりしながら三つの山の頂に立った。これは最近になく面白い体験だった。いくら標高が高くても、ガイドブックに詳細な解説があり、地図に道が書いてあり、親切な案内標識のべたべたと立てられた蔵王栗駒山を登るよりも、はるかにクリエイティブな山登りが出来た。「山高きをもって尊しとなさず」はもとより、自分たちにとって、情報のない、いわば未知の領域を自らの手で明らかにしてゆくこと(学問はこれと同じ)が、いかにエキサイティングなことであるかを再認識した二日間であった。