2008-01-01から1年間の記事一覧

「民意」は非常に危険である

先々週から、DH(一律共学化断固反対委員会)によるデモを挟み、先週にかけて、一高内で「民意」という言葉をよく耳にした。一律共学化に反対する人が70%余りいる、というのが県民世論(民意)で、だから一律共学化は強行すべきでない、ということだ。…

瀬見温泉

週末は、2日間、家族で山形に行っていた。10月に石巻線のSL見物に一日を費やした話を書いたが、じゃあこの次は、SLの引く客車に乗って出かけよう、という話になった。幸い、発売開始後1秒だか5秒だかで完売するという切符も手に入った。私は、以前…

勉強二題

【1】12月4日に、東北大学の先生による学部・学科説明会(法学部)に出た。この中で先生が、『三太郎の日記』や「理性的なものは現実的であり、現実的なものは理性的である」というヘーゲルの言葉を、多分、或いは当然、高校生は知っているはずだという…

アメリカの組閣・仮想現実・加藤周一

師走である。最近のいくつかの出来事に触れることから始めよう。 アメリカの次期大統領オバマ氏が組閣を進めている。大統領選挙も大変だったが、この1ヶ月以上かけての組閣というものに、私は改めて感心している。こうして生まれた大統領や閣僚の辞任の話を…

イランの切手

(裏面:11月20日朝日新聞「生命倫理で大胆な判断=イラン、宗教が生む医療の差」西川伸一氏筆) 国が違えば文化が違う、というのは当然の話。この記事を読みながら思い出したのは、下のような切手だ。これは、1983年、私がイランを旅行していて見つ…

人の立場と表現の自由

航空幕僚長なる航空自衛隊のトップが、某企業の懸賞論文に応募して最優秀賞を獲得した。ところが、その内容が、太平洋戦争についての歴史認識を中心に、政府見解と異なる部分が多かったために問題となった。そうしたところ、今度は論文を応募したのが一人二…

理想(本質)は長く、現実は短い

先週ここに書いた勉強に関する考察について、2回目のアンケートを整理しながら、私なりにどのようなスタンスを取るべきか、あれこれと思いを巡らせていた。極端に言えば、諸君に全てを任せるか、徹底的にこちらで強制(指導)するか、の間で揺れ動くわけだ…

米大統領選挙と文化の違い

早いもので11月。最近は5:10に私が起きる時には外が真っ暗。朝食の準備をしているうちに、外が深い紫色からだいだい色に変り、朝食を終えて6:10に家を出るちょうどその時、牡鹿半島から太陽が顔を出す。毎朝わずか1時間のうちに、地球における創…

議論は結論を求めない

成績にいろいろ問題があったこともあり、最近、授業で諸君との会話が不足気味であることもあり、学校評価の時期ということもあって、いつもより少し念の入ったアンケートを行って、勉強の意義や方法についてあれこれ考えてもらった。受動的な勉強から脱する…

にわか鉄子とSL

生徒の都合で部活がキャンセルになった週末は、これ幸いと、昨年に引き続き石巻線に登場したC11なるSLの追っ掛けをしていた。 土曜日は、学校が終わった後、石巻駅でSLが見られるように早めの電車で帰り、昨日は家族で車に乗って通過を4回見送った上…

得る者は何からでも得る

素晴らしい天気に恵まれた気持ちの良い強歩大会であった。逆に気温が高くてリタイアが増えたという話もあった。私は予定通り、五橋交差点で立ち番、最後の生徒を見送った後、ランナーに変身して気持ちの良い汗を流した。 私が走りながら、面白いなあと思って…

ノーベル賞

先週は、ノーベル賞と株価の大暴落という明暗対照的なニュースで新聞紙上が埋め尽くされていたかのような一週間だった。 私は専門家ではないので、ノーベル賞の受賞が決まった人達の業績がどれほど優れたものであるかはよく分からない。報道によると、いかに…

ドイツ訪問記 第八話(東と西、最後に)

【東と西】 24年前、東に行けなかった理由は既に書いた。前日の夜、ドイツ人が東と西の問題をどのように考えているのか、現在の東と西をどう見ているのか、バーンドに尋ねてみた。答えは非常にドライだった。東欧革命=東ドイツの崩壊=ドイツの統一が19…

心豊かになる学問は実学だ

一応「引率」、実は「便乗」で国立天文台へ行った。中学・高校時代、天文少年であった私としては、歴史的な場所としての国立天文台そのものにも魅力はあったが、何と言ってもお目当ては、生徒にとっての大先輩、今をときめく若手天文学者・小久保英一郎氏と…

ドイツ訪問記 第七話(消費者の納得と生活の哲学)

お金に関することを長々と書いてきた割には結論がない。「算数」はいくら考えても、最後まで解決しないのである。 誤解してはいけない。私は今の日本が金銭的に貧しい、もっと消費が盛んであってもいい、などと考えているわけではない。むしろ、贅沢に過ぎる…

京都大学説明会

私が直接説明会に参加したわけではないが、参加した某先生の報告を聞いて面白かったので触れておこうと思う。私が感心したのは、例えば以下のような点だ。 1:自学自習を基本とし、必修科目を設定しない学部もある。 2:公認会計士などの資格を取るための…

仕方がないリスク

諸君も知っていることと思うが、先週の木曜日、県内某公立高校の女子生徒2名が、卒業アルバム用クラス写真撮影のため校外に出ていて、交通事故で亡くなった。何とも痛ましい話である。本人達はもとより、娘を失った家族の哀しみというものは、察するに余り…

ドイツ訪問記 第六話(物の値段と肥満の話)

【物の値段】 前回、ドイツ人の消費ということについて触れた。ここで思うのは、今回の旅行で最も驚いたことの一つである物価のことだ。 運も悪かった。私達が訪ねた時期はユーロ高が進み、1ユーロ(以後Eと略記)は170円を突破寸前、160円台の後半…

ドイツ訪問記 第五話(経済の話)

話をアルブレヒト家に戻す。 着いた日は、そのままビュルツブルグ市街を案内してもらい、翌日はローテンブルグに、翌々日はバードウィンドスハイムという町に連れて行ってもらった。この間、ゴールホーフェン内を散歩したり、隣町・ウッフェンハイムに買い物…

自分の判断と自分勝手

壱高祭が終わって一週間が経った。教員内で、今年の壱高祭はああだったこうだった、ということがよく話題になった。私は、他の先生達が生徒諸君の動きを本当によく見ているものだ、と感心することが多い。生徒指導部の先生ならともかく、それ以外の先生など…

自民党総裁選挙の憂鬱

新聞・テレビの類を見ていると、自民党総裁選挙のニュースばかりやっている。自民党の総裁は、現状においては総理大臣(首相)と実質的にイコールだから、重大問題であることには異議がない。しかしながら、なぜそれほどの重要ポストに就く人が、こう後から…

ドイツ訪問記 第四話(風景の美しさと鉄道の快適さ)

【風景の美しさ】 ドイツの風景は美しい。緑豊かで、淡い色の塗り壁と傾斜のきつい赤煉瓦の屋根を持つ家が、その緑によく調和している。どこを写真に撮っても、それが絵はがきになるほどだ。フランクフルト空港からヴュルツブルグまでも美しかったが、ヴュル…

ドイツ訪問記 第三話(環境問題)

7月に行われた「サミット」では、環境問題への取り組みが積極的なヨーロッパと消極的なアメリカとの対比(対立)が鮮やかだった。私は、行く前から、ヨーロッパ人がどのような実践をしているのかには非常に興味を持っていた。が、結論から言うと、感心する…

ドイツ訪問記 第二話(ゴールホーフェンとアルブレヒト家)

夏のヨーロッパと言えば、私はモスクワ、サンクトペテルブルグといった「ヨーロッパロシア」にしか行ったことがなかったので、気候についてはデータはあっても、実感としては分からなかった。 朝6時に降り立ったフランクフルト空港は寒かった。まるで日本の…

ドイツ訪問記 第一話(いきさつ)

予告通り、8月4日から14日までの11日間、ドイツへ行った。もっとも、お金をけちった結果(北回りと一人10万円も違う!)、成田発、バンコク経由の南回り便を利用することになり、往復にほとんど3日かかったので、実質的には8泊8日に過ぎない。 ド…

医療事故裁判の難しさ

8月は63年前に終戦を迎えた月であって、それに関する様々な特集記事・番組を見ながら、人間の歴史と現代社会のあり方について思いを致すというのが私の恒例だ。 だが、今年の夏、私がひときわ注目していたのは、昨日判決の出た医療事故裁判であった。これ…

温暖化問題と酸素の減少

先週の社会的話題といえば、何と言っても「サミット」であった。議論の目玉は、地球温暖化対策である。言うまでもなく、環境問題は経済問題なのであって、G8内部の。或いはG8と新興国の対立、駆け引きを見ていると、人間が欲望を制限することって、本当…

秋葉原殺傷事件について

(裏面:7月3日付読売新聞「秋葉原殺傷事件7 進学校ゆえ疎外感強まる」鈴木高弘筆を引用) 秋葉原での事件についての多くの論評の中から、比較的身近なもの(?)を一つ。 幸いにして、私は「有名大学に何人合格させたか」と評価されている実感はない。し…

朝自習と模試の過去問

今年度、朝自習(モニプリ)なるものが始まったが、国語科は参加しなかった。今週末は模試であるが、やはり国語科だけは過去問の配布を見送った。 「朝自習、国語科は参加しないよ」と言った時、諸君から拍手までもらったものの、こちらの意図がどれだけ伝わ…

餃子の喜び

週末は久々に2日間とも家にいた(と言うより、いることが出来た、と言うのが正しい)。土曜日は、あまり気を遣わなくてよい友人が4人来て、夕食をどうしようか、という状況になった。私は、ふと7月15日に2年4組の特別LHR(2時間続き)で餃子作り…