京都大学説明会



 私が直接説明会に参加したわけではないが、参加した某先生の報告を聞いて面白かったので触れておこうと思う。私が感心したのは、例えば以下のような点だ。

1:自学自習を基本とし、必修科目を設定しない学部もある。

2:公認会計士などの資格を取るための講座は設けていない。

3:来年度入試から理系も「国語」を必修にする。採点は大変だが、京大生でも、論文、就職の希望理由書等でひどい日本語を書く者が多数いた。理系でも総合力は必要で、国語力がないと論文も書けない。

4:入試の採点をしている側が予備校の解説を読むと、的はずれが多い。最近の生徒に欠けているのは、論理的思考力だ。グラフや問題文を読みながら、論理的思考を積み上げていくものが弱い。

 中途半端な羅列で分かりにくいかも知れない。私は、学問の本質とか、本物の実力とかを考えた時に、理に適っていると感じられることが多いと思ったのだが、よく考えてみると、2や3など、京大だから出来ることだな、と思う。つまり、就職対策をしなくても、入試のハードルを高くしても、京大に入りたい人はたくさんいる、という自信がなければ実行できないことだ。

 思えば、今は高校でも大学でも、少子化の中で、どうやって受験生を集めるかということが最大の問題となり、その結果、就職対策、入試科目の少数化など、生徒に媚びを売るような策が数々取られるようになった。おそらく、私などよりもよほど深く「学問」をしたことのある大学の先生など、誰しもそのマイナスに気付いていながら、経営上の理由から止められない。

 諸君は、京大の「必修科目を設定しない」を見て、「こういう所なら、○○を勉強しなくても済む」式の発想をしてはならないし、逆に、いろいろな大学の資料を見ながら「いいな」と心引かれることには、必ず一度は、それが学生に媚びを売る(=本当の実力を付けることから遠ざかる)ものではないか、との疑いを持って欲しいと思う。