2008-01-01から1年間の記事一覧

カラスと大鷹

一週間前の話、考査中の日曜日の午後、私は自宅にいて、のんびりお茶など飲みながら、ぼんやりと外の景色を見ていた。珍しいほどの静かな時間であった。 ふと黒い影が見えたような気がした瞬間、目の前のガラスに何者かがバーンと大きな音を立ててぶつかった…

オレオレ詐欺の真実

(裏面:私のビルマ人の友人名義のEメール引用 内容は以下を読めばだいたい分かると思うので原文省略) 先週木曜日の深夜、私の携帯電話に上のような長いメールが届いた(その後、自宅及び学校のPCにも同じものが届いていることを知った)。送信者は以前…

大漢和辞典

(6月14日朝日新聞 鎌田正氏の訃報引用) 図書館等で『大漢和辞典』を見たことがあるだろうか?索引を含めて全14巻。私などは、この辞書を手に取るたびに、中国文化の厚みと、この辞書を作った先人の学識と情熱とに深い感動を覚える。その編集者の、最…

米大統領選挙と小浜市

大変な盛り上がり、というよりも混乱状態、若しくは泥仕合になっていたアメリカの大統領選挙、民主党の候補者選びがようやく終結した。もちろん、オバマ氏が黒人として初めての候補者となったのである。これにより、オバマ氏を積極的に応援していた福井県小…

サンドイッチショック

県総体ご苦労様。私は県総体とは関係なく、山岳部の生徒諸君と船形山に行っていた。1年生2名ということで、総体の参加資格がない。私は、大会役員として行く要請を受けていたのであるが、せっかくの授業のない土日に、自分の所の部員を放っておいて、他校…

工夫只是簡易真切

明の嘉靖丁亥(1527年)10月のこと、今でも中国で最も知られた思想家の一人である王陽明は、吉安という町で、300人にも上る好学の士を相手に、学問を語っていた。長い講演と議論の後、別れに際して陽明は次のような言葉を残した。「工夫只是簡易真…

堀川の奇跡

(裏面:5月26日付読売新聞「高校グラフィティー 京都府立洛北高校・市立堀川高校」引用) 「堀川の奇跡」は一高教師陣でもつとに有名。実際に視察に行ってその魅力に取り付かれたとか、昨年、堀川高校の校長が二女高に来て話をした時に聞きに行ってファ…

自衛隊とは何か

「衣替え」である。先週は寒い日が続いていたので、実感が湧かないなぁ、と思っていたところ、昨日から少し気温も上がり、それなり、になってきた。夏服は見た目が爽やかでよい。 それはともかく、先週、私とは比較的親しい某教諭が、1泊2日で横須賀へ、防…

Loftの法則

不意の予定変更を迫られることもなく、先週までに全員と、短時間ではあるが、一通り話をすることが出来た。文系で化学を選んだ諸君だから、よほど積極的な何かを持っているのだろうと期待していたのだが、残念ながら、そんな気配は微塵も感じられなかった。 …

大人の古典・・・ブルックナー

先週金曜日の夜、仙台フィルハーモニーがブルックナーの交響曲を演奏するというので旭が丘までのこのこ聴きに行った。 「ブルックナー」と言われてもピンとは来るまい。1824年というから、ベートーベンが亡くなる3年前に生まれ、20世紀を迎える5年前…

『醜い中国人』

〈裏面:4月30日毎日新聞 柏楊氏の訃報引用〉 訃報である。知っている人など、高校生でなくてもほとんどいるまい。 諸君が生まれるより前の話・・・私は中国・上海の某書店で、何か面白い本ないかなあ、と平積みにされた本をパラパラめくっていた。私が見…

石油は絶対に再生できない

4連休に先立つ5月1日、世間ではガソリンが160円になった、と大騒ぎであった。今回は税金がらみであったが、たとえ税金がかかっていなかったとしても、ガソリンなんて300円にでも、500円にでも上がって当然なのだから、160円で騒いでどうする…

オリンピックの聖火

世界各地でトラブルを起こしているらしい「聖火」が、遂に日本にも来るらしい。良くも悪くも自己主張の乏しい国民性の故に、日本では、外国人がやって来て騒がない限りは何事もなく終わるのだろう、という気もしていたが、さすがにそれでは済まなかった。ま…

文化の質はかけた手間暇に比例する

入学後、早い時期に諸君に語ったことの中から、いついかなる場面においても重要なことだと思われることを復習して、学年末のメッセージに代えようと思う。「文化の質はかけた手間暇に比例する」という、世に有名な(?)「平居の格言」の一つである。 Cultur…

第一次世界大戦の兵士

(3月14日河北新報 ラザール・ポンティチェリ氏の訃報引用 ポ氏は第1次世界大戦に参戦し生存していた唯一の元フランス人兵士) 先週の金曜日、この記事を見つけて、私にとってはいろいろな驚きがあった。 ひとつ、既に一世紀近く昔の出来事である第1次…

ヤル気を出す方法

勉強を始めとして、何をする時でも「ヤル気」があればぐんぐん伸びる、というのはだいたい分かり切った話である。普通、人が困るのは、やらなければならないことが分かっていても、ヤル気にならないからであろう。では、そういう場合、ヤル気を起こすにはど…

コントラバス奏者・片倉宏樹

週末は山岳部OB会の行事で、現役生と諸君と共に北泉が岳に行っていた。二日間快晴という、ほとんどあり得ないコンディションだった。それだけに夜中は多少冷え込んだが、ものすごい星空。あれだけ多くの星が近くにギラギラと輝いていることは、しょっちゅ…

JR東日本と技術

卒業式が無事終わった。今年は、例年見られるパフォーマンスや有志演説もなく、本当に静かな式だった。 「正直に、謙虚に、ものごとには熱意を持って当たれ」という校長式辞の後、記念講演に登場したのは、社員63000人、年商2兆円の巨大企業・JR東日…

学ぶことの喜び

我が家のことでいささか気恥ずかしいが、幼い娘が、最近数字というものにとても強い興味関心を示している。何をしていても気になるらしく、人の車のナンバーやら広告に書かれた物の値段(8ばかり登場回数がやたらと多い=笑)やらを見ては、読める所から「…

人生あっての「進路」

今回の進路講演会は出色!受験業界の人が講師に来た時で、私が退屈を感じなかったのは珍しい。もちろん理由は明白。講師のF氏が、自分の大学時代(留年→退学未遂)を赤裸々に語りながら、それに基づいて自分の言葉でものを語っていたことによる。実体験特有…

食料について考える

我が家は共働きなので、毎週日曜日に、一週間分の買い物をする。最近、野菜がずいぶん高くなった。季節的なこともあるにせよ、どうやら中国産の品物の流通量が減ったというのが要因らしい。私としては、物価が上がるというのは困るにしても、いいことだとい…

古典の作文と中国ギョーザ事件

世の中で事件が起こるたびに、それに対する騒ぎの大きさ、特にマスコミの姿勢というものを、私はたいへん苦々しく思いながら見ている。少なくとも、悪意のない事件・事故については騒ぐべきではないし、人間にしてもシステムにしても、間違いは絶対にゼロに…

まだまだ捨てたもんじゃない

先週の土曜日、私はほぼ1日、学校で仕事をしていた。帰ろうと思って、ふとジャケットのポケットに自転車の鍵の束(自転車2種類+自宅+実家)がないことに気が付いた。背筋を冷たいものが走った。学校に来てからは絶対に触れていないので、間違いなく、石…

吉野弘の「夕焼け」

先週の木曜日は猛烈な吹雪であった。電車が止まって、帰れなくなったら困るなあ、と思いつつ、いつもより若干早い電車に乗ったところ、雪で踏切が異常だといって遅れ、一度遅れが生じると、今度は列車交換(仙石線は東塩釜〜石巻が単線なのだ)がチグハグに…

不曰如之何如之何者、吾末如之何也已矣

国語の授業では、間もなく『土佐日記』が終わって『論語』に入る。さすが2500年の時間に耐えた本は違うなぁと、『論語』を読むたびに思う。人生の様々な場面で、繰り返し納得し感心する名言の宝庫である。 最近(と言うより、もう数ヶ月来)、我が山岳部…

I先生の告別式

三連休となった週末の初日、土曜日、前任校の同僚であったI先生(享年66才)の告別式に参列した。 いささか失礼な言い方だが、その崇高な人格に感銘を受けた、という人では必ずしもない。しかし、悪い人ではなかったし、何よりも郷土史の研究家として何歳…

昭和の終わり、平成の始まり

謹賀新年 平成も早いもので20年目を迎えた。59回生で平成生まれの高校生に出会ってびっくり仰天したと思ったら、いつの間にか、高校に昭和生まれがいなくなってしまった。私は平成元年の採用なので、平成はすっかりそのまま私の教員生活と重なり合う。長…