カラスと大鷹



 一週間前の話、考査中の日曜日の午後、私は自宅にいて、のんびりお茶など飲みながら、ぼんやりと外の景色を見ていた。珍しいほどの静かな時間であった。

 ふと黒い影が見えたような気がした瞬間、目の前のガラスに何者かがバーンと大きな音を立ててぶつかった。すぐ近くに座っていた妻が、それこそ「ぎゃっ!」と言って飛び上がったほどだから、よほどの音だったのである。ガラスは割れていない。何事かと思って見てみると、庭先に大きな鳥が二羽、茫然とした表情で立ち尽くしていた。

 10秒以上に渡ってじっとしているので、よく観察できた。1羽は普通のカラス、もう1羽は図鑑で調べてみたところオオタカ(大鷹)と思われる。何かの事情で追いつ追われつして、我が家の窓に衝突したらしい。

 私は、オオタカなどという鳥が我が家の周りにいたということに対しても、少なからぬ驚きは感じたのだが、それよりも、こんなに身近な所で、野生の厳しい戦いが行われていたことに対する感動が大きかった。自然は激しい。