ついに石巻にも!!

 今日は台風10号が直撃しそうだということで、宮城県内の公立小中高校はすべて休校。昨日の昼過ぎに、県教育委員会から県内全校に休校指示が出たが、これは異例中の異例。30年近い教員生活で初めてのことである。普通は、各学校ごとに校長判断となる。観測史上初めて、海から宮城県に直接台風が上陸することに対する危機感の表れとして象徴的だ。
 もちろん、生徒は休みでも教員は休みではないのだが、年休が足りなくて困っている人など誰もいないし、夏休みも使い切れずにいた人が少なくないので、「正規の手続きを踏んでお休みください」となった。
 私はいつも通りに出勤。なにしろ、職業高校の就職係としては、今が就職試験出願作業のピークで、はなはだ多忙なのである。学校に行ってみたら、何が悲しくて学校に来るのか、半分くらいの教員がいたが、さすがに生徒は来ないし、出願書類も動かしようがない。風雨が強まり、帰宅できなくなっても困るので、11時頃から「正規の手続きを踏んで」帰ってきた。
 我が家から見える海は、朝こそなんでもなかったが、帰宅した頃には荒れ狂っていた。警察が海岸道路を通行止めにしている気配はないが、日和大橋の上で横風にあおられたら危ないということくらい分かっていると見えて、橋を渡る車の姿は、12時過ぎを境に見えなくなった(と書いているうちに、正式に通行止めになったみたい)。
 我が家は、建てる時に、あらゆる自然災害を想定してある。丘の中腹なので、洪水と津波は絶対にない。地盤の強固も折り紙付きなので、たぶん、丘そのものが崩れることもなく、地震にも強いだろう・・・。これらの配慮は、東日本大震災の時に想像以上の成果を生んだわけだが(→参考)、唯一、どうしようもないとあきらめたのが南風だ。
 我が家からは太平洋が一望である。これほど眺望のいい家というのはなかなか無い。しかし、その結果、必然的に南側が無防備なのである。強い南風に弱いというのは分かっていたが、それに備えるということは、眺望をあきらめるということになる。どうしても二律背反なのである。さすがに家が破壊されるほどの南風が吹く可能性は高くないだろうと、多少のリスクを覚悟しつつ、今の土地を選択した。だから、南風で家が壊れても文句は言えない。
 しかし、今回の台風を天気図で追いながら、2〜3日前から、まずいことになってきたぞ、と思い始めた。もしかすると、950ヘクトパスカルくらいの勢力で、この地を直撃するのではないだろうか?その場合、海上とほとんど同じ条件の我が家には、瞬間で50〜60メートルの風が吹いてもおかしくない。家そのものもともかく、窓ガラスが耐えられるかどうか?私は真剣に心配を始めた。
 なにしろ、我が家の最大の利点である南側の眺望を最大限確保するため、南側には非常に大きなガラス窓がついている。これが、25〜30メートルくらいの風でも、大きくゆがむのが分かるのである。果たして、このガラスはどれくらいの風に耐えられるのだろうか?講じられる対策は講じなければと、昨日、私は家を建ててくれた建設会社に問い合わせをした。サッシメーカーが公表しているデータによれば、51メートルまで、とのことだった。51メートルまでメーカーが保証しているということは、たぶん、60メートルくらいまでは耐えられるかも知れないな、と思いつつ、台風情報を気にし続けた。なんとか、経路が北(東)にずれてくれないかと、祈るような気持ちで見つめるのである。
 言うまでもないことだが、台風というのは、進行方向右側と左側でまったく違う。右は風速に進行速度が加算されて風は更に強くなり、しかも南風だ。左側は風速を進行速度が打ち消して北風だ。だから、右を危険半円、左を可航半円と言う。これは、台風の中心を境にしてほんの少しでもずれると変わることなので、とにかく北に経路を取って我が家が左に入ってくれ、そればかりを祈り続けていた。が、残念ながら、どうも我が家の南を通りそうだな。
 そうしたところ、かつて自分が書いた文章を思い出した。特に「30mの風が吹いても恐怖を感じるのに、50mとか70mとかの風が吹く台風が、じりじりと近付いてくる時の恐怖は、想像しただけでも身の毛がよだつ」(2015年4月7日「バヌアツ・ショック」→こちら)という表現だ。今まさにそんな感じ。
 というわけで、今までに書いた似たり寄ったりの気象・温暖化関係の記事を紹介しておく。

2006年9月19日「自然と人間」(→こちら
2010年7月24日「正しい暑さ対策とは・・・」(→こちら
2013年5月16日「ツケは全人類の上に・・・ハワイの二酸化炭素」(→こちら
2014年5月3日「温暖化は人間の内部崩壊だ」(→こちら
2014年6月11日「ますます「環境問題」」(→こちら
2014年9月4日「内閣改造のおぞましさ、または「環境問題」」(→こちら
2015年9月13日「震災よりも豪雨、豪雨よりも竜巻」(→こちら
2015年10月26日「仙台空港の発展または温暖化と餓死」(→こちら
これ以外の記事は、これらからリンクが張ってあるので省略。

 こんな台風は今回が最後ではないさ。まだまだ序章。人間が自然に対し、今のような思い上がった生活をしていれば、もっともっとひどい自然災害がやってくる。恐ろしいと思う一方で、「人間ざまみろ」と、わくわくするような気持ちで笑っている自分がいる。