オレオレ詐欺の真実



(裏面:私のビルマ人の友人名義のEメール引用 内容は以下を読めばだいたい分かると思うので原文省略)

 先週木曜日の深夜、私の携帯電話に上のような長いメールが届いた(その後、自宅及び学校のPCにも同じものが届いていることを知った)。送信者は以前このプリントにも登場したことがある、私が深く尊敬するビルマ人M氏である(Sという署名は、彼が政治活動家としてミャンマー政府に追われていた時の偽名。彼は、日本への政治亡命が認められ、実名を公にするようになってからも、メール上だけはこの名前を使っている)。内容に目を通してびっくり仰天。私は彼からマレーシアへ行くという話は聞いていなかったし、控え目で、誇り高い彼が外国から金を貸してくれなどと言って来るというのはよほどの緊急事態に違いない。私は海外への送金などしたことがないのでどうしたものかと頭を抱えつつ、とにかく夜も遅いので明日にするしかないと、とりあえず、M氏がメールを開けるかどうかは不安に思いながらも、「状況は理解した。明日最大限の努力をするので待って欲しい」と返信した。30分後、日付が変った頃に電話が鳴った。出ると、M氏本人である。「今、私にメールしましたか?大変なことです。私は日本にいます。何も問題は起こっていません。」私はこの瞬間、上のメールが一種の「オレオレ詐欺」であることに気付いて、愕然としたのである。なぜ彼が私のメールを受け取れたかというのは「運」であった。つまり、犯人はこの直後にhotmailにアクセスするためのパスワードを書き換えたらしいのだが、その寸前にM氏がたまたまメールを開いたのである。私は、パスワードを盗んだ後、まず最初にそれを変更してから作業をしなかった犯人のミスと、M氏がメールを開いた偶然と、ことの重大性に気が付いて0時過ぎであるにもかかわらず電話をくれたM氏の機転とに救われた。恥ずかしながら、私は彼の自宅や携帯に電話をして事を確かめるという選択肢を全く思い浮かべることが出来なかったのである。

 「オレオレ詐欺」の話を聞くと、あんなものにだまされるのはアホだ、などと思っていたが、今回、自分が被害者になりかけて、やられる側の心理がよく分かった。すなわち、メールの内容に全く疑いを持てず、M氏を絶対に信用しているだけに、M氏が金を貸して欲しいというのはよほどのことだと思ってしまった。また、表現や内容のM氏らしくないおかしさについては、逆に、それが切迫した彼の状況(彼の動揺)を証明するもののように見えてしまった。つまり、一度「大変だ!」と思ってしまうと、全ての意識がそれを中心に動き始めてしまうのである。う〜〜ん、まいった!