大人の古典・・・ブルックナー



 先週金曜日の夜、仙台フィルハーモニーがブルックナー交響曲を演奏するというので旭が丘までのこのこ聴きに行った。

 「ブルックナー」と言われてもピンとは来るまい。1824年というから、ベートーベンが亡くなる3年前に生まれ、20世紀を迎える5年前、1896年に死んだ、オーストリアオルガニスト・作曲家である。作品は少ないが、演奏時間が約1時間から更にはそれを超える巨大な約10曲の交響曲が有名である。私も、自分が高校時代、ブルックナーという名前は一人の歴史上の人物としては知っていたものの、彼の作品に心引かれる日が来ようとは夢にも思っていなかった。これが、40歳を過ぎてから、実に心に響き始めたのである。私の友人にも、聞けば同様のことを言っているのが2〜3いる。おそらく、ブルックナーは大人の音楽なのだ。

 とすると、一言で「古典」すなわち、時を超えて生き続ける名作とは言っても、決して一括りには出来ないのではないだろうか。すなわち、人間が、どれを残してどれを捨てるかの判断を迫られた時、捨てようとする大人に対して子供が「これは僕にとって大切なものだから捨てないでよ」と言うものや、捨てようとする子供に対して大人が「お前にもやがてこれの価値が分かるようになるから取っておきなさい」と言うもの、そして年齢に関係のないものなどがあるのではないか、ということだ。

 私が日々授業で扱っている日本や中国の古典的文学作品についても、同様のことは言えるだろう。だとすれば、音楽や美術も含め、一体どの作品がどのカテゴリーに入るだろう・・・? 帰る道々、そんなことを考えていた。