受験と団体競技



 センター試験まで残り60日を切ったところで、とうとう全員受験の最後の模試も終わってしまった。プレッシャーの日々大きい時期ではあるが、「逃げ」て「自滅」するほど愚かなことはない。

 ところで、最近教室の様子を見ながら、私の頭にふと浮かんだことがある。それは、スポーツの団体競技というものの不思議さだ。野球やサッカーが団体競技として成立することは自明であるとしても、例えば柔道、剣道やスキーのジャンプ競技といったあたりが、なぜ団体種目として成り立つのであろうか。私にはどうしても、個人種目をただ何人分か寄せ集めただけにしか見えないが、それに参加している人達によれば、断じてそういうものではないそうである。外の者には窺い知れない何かしらの精神的な影響関係が存在する、ということなのだろう。

 それらが一つの競技種目として成り立つなら、受験などというものも団体戦として成立するのだろう、と思う。それは互いに教え合うとか励まし合うとかいう単純なことではない。なんだか第三者にはよくは分からず、当事者達にも自覚できてはいないかも知れないが、共に机を並べて勉強する中で、何か心の奥底で影響し合うものがあるはずだ、ということである。毎年、年度末には三年生の授業への出席状況、クラスの雰囲気と入試結果との関係というのが噂に上る。出席率の高い人ほどいい結果を残した、という話には決してならず、出席率の高いクラスはいい結果が出た、という不思議な話である。多分このことは、剣道やジャンプの団体戦と同じ理屈なのだろうね。