おおらかな時間



 先週の金曜日、私は榴ヶ岡駅発18:24の普通列車に乗って、はるか石巻の我が家を目指した。本塩釜駅で、妙に停車時間が長いなあと思っていた所、「停止信号」である旨の車内放送が入ったので、何かまずいことになったな、という気がした。やがて、その原因は、大型トラックが鉄道ガードの橋脚に衝突したことであることが明らかになり、線路の点検のためにしばらく電車は足止めを食い、石巻に着いた時には1時間8分の遅れが生じていた。

 いつぞやの福知山線の事故の時のように、鉄道会社が数十秒の遅れにぴりぴりと神経をとがらせている話を聞くと、潔癖で余裕のない日本の社会というものが、息苦しいように身に迫ってくるのを感じるが、一方、この日の仙石線はと言えば、列車の遅れを家族や友人に知らせる電話をかける姿が多少目に付くくらいで、人々はとにかく悠然と、何のいらだちも表情に見せずに、電車が動くのを辛抱強く待っていた。あとは帰るだけ、という時間帯の問題もあるのだろうが、このようなのどかさというか、おおらかさに接すると安心する。そして、4年間も電車通勤をしていて、鉄道会社自身の問題による遅れというのはほとんど経験がないのだから、JR東日本(日本の鉄道と言ってもいいのかも)というのはたいしたものである。