鬱憤晴らしのブーメラン・・・及び腰のJR

 3月になった。宮城県の県立高校では毎年、曜日に関係なく3月1日が卒業式である。その昨日、昨年11月上旬(8日?)から継続していた塩釜神社経由通勤(→説明)の連続記録が途切れてしまった。それでもすごい!ほとんど4ヶ月近く、通勤時間帯に雨が降っていなかったということだからである。
 強い風雨であった。運悪く、卒業式に関する私の係は「駐車場」。朝はかろうじて自転車で駅まで行けたが、その後どのような状況になるのかは予想されたので、用意万端、山に行く時のレインウェア+長靴+傘で学校に行き、強まりつつある風雨の中、学校前の道路で車の誘導に当たった(というより、近所の空き地に無断駐車されないよう見張っていただけ)。
 卒業式の終了とほとんど同時に雨は上がり、午後からは青空となったが、風はどんどん強まる。卒業祝賀会が行われる仙台市内へは、仙石線で出た。なぜか、東北本線よりもよほど軽い車体を使っているように見える仙石線の方が、風に強いことが分かっているからだ。実際、東北本線のダイヤは乱れていたが、仙石線は定刻運転していた。
 祝賀会終了後は、仙石東北ラインに乗り、わずか数分遅れで石巻まで帰り着くことが出来た。夜中、風の音が大きくてたびたび目を覚まし、今朝起きてテレビをつけると、仙石線も仙石東北ラインも運休になっていた。
 とはいえ、比較的風の強い場所に建つ我が家でも、電車が止まるほどの風が吹いているようには思えなかった。強風にさらされていると思われる北上川河口の日和大橋でも、車は普通に走っている。車高の低い自家用車だけではない。風を大きく受けそうなトラックもだ。高速バスも動いているようだ。そんな中で、どうして重厚な鉄道が止まらなければならないのだろう?
 以前にも書いたことがあるかも知れないが、最近のJRは非常に弱気である。すぐに電車を止める。もちろん、何か事故があるとあまりにも激しく批判され、そのたびに「安全軽視!」などと言われるものだから、及び腰なのだ。先日は、新潟で電車が雪のために止まってしまい、乗客を長時間監禁状態に置いてしまって批判されたため、今後は、ますます予防的な運休が増えるだろうな、と予想できる。実際、JR東日本のHP「列車運行状況」を見ると、「仙石東北ラインは、強風が見込まれるため、仙台〜石巻駅間の上下線で運転を見合わせています。運転再開見込は立っていません。」と書かれている。「見込まれるため」だ。私などは、見込みで列車を止めるなよ、移動できないと困る人がいっぱいて、経済的ダメージも大きいんだから・・・と思うが、これが世間による鬱憤晴らし的な批判の結末というやつである。
 ハイデッカーのバスよりも、鉄道の方が風に弱いなどということがなぜ起こるのだろう?と考えていて、ふと思った。JRの在来線は軌間1067㎜の狭軌である。関西地方の私鉄はほとんどが(全て?)国際標準軌の1435㎜である。それでいてJR在来線の車体幅(線区によって多少異なる)と、関西私鉄の車体幅はほぼ同じ約2800㎜だ。つまり、JRは車体幅が車輪幅の約2.6倍という頭でっかちになっていて、2倍に満たない関西私鉄に比べると不安定だ。大型バスは車体幅約2500㎜に対して車輪間隔(車軸の長さ)が2050㎜くらい。1.2倍でしかない。JRの2倍以上安定性が高いということである。
 ちなみに、新幹線は関西私鉄と同じ1435㎜であるが、軌間を広げた分だけ車体幅も広げ、1列を5人掛けに出来る3400㎜とした。軌間の2.4倍で、車体の横幅と高さの比も在来線とほぼ同じなので、安定性にほとんど違いはない。しかし、トンネルと防音壁のおかげで風の当たりにくい構造になっていることや、車体が丸みを帯びたデザインになっているおかげで、在来線に比べると遅延や運休が発生しにくいのだと思われる。
 う〜ん、JRの及び腰もともかく、軌間と車体幅の著しいアンバランスを解決しないと、風に関して鉄道はバスに勝てないということだな。ただでさえも、鉄道の経営が苦しい中、この状況はまずい。
 さて、テレビの画面と外の風景とを見ながら、私は悩んだ。とりあえず駅まで行って運転再開を待つ、学校に車で行く、休む・・・。特に3つめの選択肢は魅力的だったのだが、不幸にして成績表の提出期限は迫っている。来週火曜日に高校入試(後期選抜)があって、それが絶対に動かせない以上、そのための作業も動かせず、生徒と会えるチャンスも限られている。今日休めば、ひんしゅくを買う以前の問題として、自分自身が苦しくなってくる。というわけで、いつも家を出るのと同じ時間に車で家を出て、朝のお散歩(塩釜神社)なしで学校に着く時間より5分早く学校に着いた。
 学校は休校(=授業がないというだけ)。入試業務で校長に会った時、「あれ、平居さん今日どうやって学校来たの?」「車です。」「あ、節を曲げた訳ね?」「勤勉ですから・・・(笑)」と、こんな会話があった。校長よく分かっている。何かのために書き留めておこう。