東北大学入試説明会の納得と不思議



 先週木曜日の夕刻、仙台二高で、東北大の入試説明会があった。市内のナンバースクール限定ということだったので、何かよほど特別な話でもあるのかと思い、出席したが、通り一遍の内容でしかなかった。ただ、中でひとつ、なるほどと納得もし、不思議にも思った話を紹介しておく。来年度から後期日程を廃止することについての医学部教授の話である。

 「医学部医学科では100人の学生のうち、毎年1割が留年し、1〜2名が退学する。調査してみると、どちらも後期日程で合格し、入学してきた学生に多いことが分かった。入学時の点数の高い後期組が入学後ふるわないのは、第2希望での入学、つまり不本意入学が多いからだ。私達は、どうしても東北大学の医学部で学びたい、という人に来て欲しい。」

 私が納得したのは、後期日程廃止の理由であり、また、意欲・モチベーションというものがどれだけ人を支え、伸ばすかということについてである。一方、不思議なのは、第2希望で東北大学に入った学生というのは何が不満なのか、ということだ。彼らはおそらく前期で東大か京大を落ちたのだろうと思うが、私には「医学」を学ぶという点において、東北大学にそれらの大学に比べて不十分な点があるとは到底思えない。もしそうだとすれば、不本意に思う学生にとって大切なのは、医学ではなくて、東京大学とか東北大学とかいう看板の部分なのだろう。

 聞く所によれば、一高の卒業生には、地方の国立大学に合格しても、入学せずに浪人する人、入学した後、退学して東北大や東大を目指す人がけっこう多いそうだ。本人の学ぶ姿勢はしっかりしているのに、大学に問題があって学べないという可能性はゼロに近いし(たかだか学部生のレベルでそう考えるのは「傲慢」である)、高度に専門的なレベルで不満があれば、大学院で乗り換えればいいだけのことである。おそらくは「見栄」によって本質を見失うことは、自分を狭く偏屈な人間にするだけで、不幸なことだと思う。