学ぶことの基本姿勢(予備校研修の感想)



 8月8〜9日、東京の某予備校で、某人気講師の教員向け講座に出席した。入試云々というだけではなく、予備校の古典の授業を知りたくて自ら希望して行ったのである。授業そのものについては、何も特別なことが行われていなかったように思うが、そのことが分かったことには意味があったし、何よりも、その講師の授業姿勢というか、基本方針のような部分で共感できることが多く、面白かった。参考までに、そこで語られたことを列記しておこう。( )は私のコメントである。

1:私は古典からどれだけの恩恵を受けたかということを常に意識し、モチベーションの源にしている。(非常に正当な学習態度だ。入試であろうがなかろうが、古典を読む以上、原点はここ以外にはない)

2:受験の世界でしか通用しないようなやり方はあってはならない。(私もよく諸君にいうが、諸君が目指すべきは20年後、30年後の理想である。いかに手段とはいえ、目先の利益を考えすぎると、応用が利かず、人間が小さくなって結局は大きな不利益になる)

3:入試傾向は少なくとも「古典」については問題にする必要がない。(現代文もでは?)

4:センター試験でしか「古典」が必要ない生徒にも、記述問題をやらせるべきだ。(急がば回れである。上の2とも大いに関係する)

5:「こうすればできる」というマニュアル、伝家の宝刀を求めて来る受験生に対して、そんなものが幻想に過ぎないことを分からせるのも教師の仕事だ。(当たり前のことなのだが、これを正直に言うのは勇気がいる)

6:予備校では、一人の生徒に対して、一人の講師が年間に24時間しか授業を持たない。この枠で全てを教えることは出来ないので、授業の役割の多くは自力で勉強していくための動機付けだ。(そもそも勉強の基本は自学である。24時間しか授業がないことで、生徒も先生もそのことを自覚し続けられるのはいい。高校は、授業を増やそうとする傾向が強いが、本当にそれがいいのかは反省が必要だ)