大きな人間が育たない



 週末は久しぶりに部活で山へ行っていた。この寒いのにテント持参。−10℃の冷え込みに、がたがたと震えながら長い夜を過ごした(学校の先生も大変ですね)が、昨日はなかなかの好天に恵まれ、寒い夜に耐えたストレスも何とか報われた。

 例によって、同行してくれたOBのコーチとあれこれ話しながら歩いていたところ、30年あまり前、彼らが高校時代の春山合宿の話になった。3月に蔵王連峰全山縦走だそうである。すごいなぁ、と感心した。冬とも春ともつかぬ時期に、蔵王を全山縦走する彼らの実力についてではない。春休みに1週間も続けて、生徒も顧問も時間が取れた、ということについてである。そういえば先日、同じくOB会の方が、昔、学生時代に冬の飯豊連峰(新潟〜福島〜山形)で吹雪に30日間も閉じこめられた、という話をしているのを聞いて仰天した。これまた、30日間も吹雪いた、ということについてではない。30日経ってようやく晴れ、下山できた時、人々は「あいつら遅いなぁ」と言うだけで、遭難騒ぎにもなっていなかった、ということについてである。

 最近は教員はもとより生徒も忙しく、1泊2日の山行の時間を確保するのにさえ汲々としている。少し下山が遅れそうになると、遭難騒ぎでマスコミのいい餌食となることに戦々恐々だ。これでは大きな人間なんて育ちようがない。