最後の桜



 先週末は仙台市内で桜が満開だった。何かにつけて天の邪鬼な私は、葉が出る前に花だけが大量に咲く「ソメイヨシノ」という日本の桜の代表種があまり好きではない。桜で最も美しいのは、高山に咲く「ミネザクラ」であると固く信じている。しかし、生徒指導部室から見える弓道場の周りの桜は、何とも上品な薄ピンク色で美しい。地下鉄工事によって、この桜が今年末に根こそぎ撤去されるというのは実にもったいない、と思う。今年限りだと思うと、なおのこと美しい。別に私が間もなく死ぬというわけではないが(間もなく死なないという保証もないが、少なくとも予定はない)、これは「末期の目」と同じ現象である。「一期一会」という言葉も同様だが、「もうこれっきり」という意識を持つことは、感動を持って生きていく上でとても大切なことだ、と改めて思う。