世界のイノウエ



東北大学教育研究振興財団広報誌「樅の木」第12号より編集後記引用)

 大学選択に関してもう一つ触れておこう。これは決して諸君への当てこすりではないが、いろいろと考えて欲しい人がいるのも確かなので・・・。

 地元・東北大学の総長が替わった。新総長・井上明久氏は、平成12年ISI被引用論文最高栄誉賞に輝いた(簡単に言えば、その論文が世界に最も影響を与えた)高名な研究者で、私も以前からその名前は耳にしていたのだが、その「世界のイノウエ」が姫路工業大学(実は私の卒業した高校の近くで、私は共通一次試験をここで受けた=どうでもいい。現兵庫県立大学工学部)の出身だというのは初めて知った。歴代の東北大学総長の中で、ダントツで偏差値の低い大学出身者であることは間違いがない。

 これを読むと、井上氏が、自分の感動とか研究に対して、とても純粋であり続けてきたことを感じる。私は、これが一つの道を極めるために大切な条件だと思う。そして、その探求心を満たすために、必要があれば、井上氏のように大学院での移動も、研究者になってからの移動も可能なのだ。