以前から、国境を股にかけて「国際的」な仕事をしたいという人は多い。グローバル化が進み、これくらい海外へ行くことが特別でなくなると、逆に、外国へ行かなくて済む仕事を探そうという人が現れてきそうなものだが、そういう声は聞かない。今や「外国へ行かなくていい」ことに価値が生まれるほど、海外勤務の機会は多い。
まあ、それはそれでいいのだが、国際的に仕事がしたい→国際○○学部へ進学したい、という発想に対しては、疑問を投げかけておいた。国際○○学部の多くは、学生集めのための営業用看板だと思う。「国際」など付かなくても、国際法や外国法を扱っていない法学部は存在しないし、外国との関係を考えない鎖国状態を想定した経済学部もあり得ない。英文学科や仏文学科が、英会話やフランス語会話の習得を目的としているわけではないことも、まだ諸君にとっては常識ではないようだ。少子化の時代を迎え、大学はあの手この手で諸君の歓心を買おうとする。昔からある法学部、文学部、経済学部といった一見つまらない名前以外の学部、学科については、「大学の営業戦略ではなかろうか?」という疑いを常に持ち、丁寧に調べた方がよい。
学問も職業も国際的でない方が難しく、また、オ−ソドックスな、基本的な学問こそ、時代も場所も越えて通用するのだ、ということは忘れないようにしよう。