世界最高齢の小学生



(夏休み中の訃報から、8月16日キマニ・マルゲ氏のものを引用。マルゲ氏はケニア人で、90歳。ギネスブックに、世界最高齢の小学生として認定され、獣医となることを目指して勉強していた。)

 ケニアが仮に日本と同じ学制を取っていたとすると、この人が念願かなって獣医師になれるのは、最速(浪人、留年なし)でも2022年、103歳の時となる。まさかご本人だって、そんな可能性、まして獣医師として働けるなどとは信じていなかったと思う。しかし、学ぶ場が与えられた喜びの中で、そんなことは気にならなかったに違いない。もちろん、自分がギネスブックに載るかどうかなど問題になるはずがない。学べるということは貴重な権利であり、それを行使することで世界が広がり、様々な可能性が開けることは、純粋に喜ばしいことである。一見、志半ばで死を迎えたようにも見えるが、私はそんな風には読まない。学べることの幸せと、学ぶことの喜びとを誰よりもよく知って、充実感のうちに亡くなった、そんな想像をするのである。世界には、生涯、小学校にも通えない人がまだいることを忘れてはなるまい。合掌。