総選挙とクレーマー



 いよいよ衆議院の解散、総選挙だそうである。テレビのニュースを見ていると、各党の重鎮や街行く人にマイクが向けられるのをよく目(耳)にするが、多くの人が決まって口にするのは、「今の日本の政治はダメだ、政治を変えなければ大変なことになる」というようなことだ。野党系の人ばかりではなく、与党であれ、野党であれ、それぞれの思いに従ってそう言っているようだ。

 例によって天の邪鬼な私は、全然そんなことは思わない。むしろ、今の日本が思わしくないとすれば、世の中のおかしさの原因を、どこかの政党や、誰かの政治家にばかり求めようとする、その人自身にこそ原因があると思う。以前も書いたことがある通り、政治には国民の姿が反映されている。もちろん、選挙制度が民意(=国民の質)が上手く反映される仕組みのものになっているかどうかについては一考が必要だが、選挙制度だって、結局の所は誰かが勝手に作ったものではなく、選挙で選ばれた国民の代表が作っているのだからね。とにかく、全ての人々が自分自身を振り返り、自己変革をした結果としての政治の変化でなければ、所詮すべてはパフォーマンスであって、あまり改善は期待できない。

 そんなことを考えていたところ、一昨日の職員会議で「平成22年度センター試験説明会」なるものの報告があって、その中に次のような困った一節を見つけた。センター試験の主催者の言葉である。「いわゆるクレーマーが最近多く、会場になっている大学を中心に、対応に苦慮している。実際に巡回中の靴音対策のため巡回回数を減らしたことで、不正行為が生じるといった問題も発生している・・・」多分、クレーマーというのは、思い通りの点数が取れなかった原因が自分の不勉強にあることが認められず、いろいろと試験場のアラを探しているのだろう。そんなことをすることで、ますます自分を高めるということから遠ざかる、ということに気が付けない。私には、今の日本の政治を他人事として批判する人の姿と全く重なり合う。

 今年2月の進路講演会でY氏が繰り返し語っていた言葉「受験で勝つために大切なのは、自分と向き合い、言い訳をしないこと」は、いろいろなことに通用する真実である。