レビストロースって誰?の意味



 先週の月曜日、某クラスでこのプリントを配ったところ、「レビストロースって誰?」という声が漏れた。私への質問というより、思わず漏れた、という感じの声だった。あれだけ新聞記事を引用したんだから、それを読めば分かるだろうと思い、また、実際そのようなことを言ったのだが、思うに、その生徒は「レビストロース?そんなの知らねぇよ」と言ってそれっきり、という人よりは、よほど気の利いた反応をしたのである(もちろん、家に帰ってから調べて深めるともっとよい)。

 実は、一高教師陣の中でも、最近の諸君について「自分の馴染みのないこと、すぐには分からないことには拒否感を示し、追求しない」とか、「抽象的概念が出てくると、とたんにあきらめる」とかいう辛口の評を聞くことが少なくない。これはとても困ったことだ。なぜなら、知らないこと、分からないことにこそロマンを感じ、憧れをかきたてられ、そこから生まれてくるのが学問だからだ。

 私が、某君の思わずの一言にふと心引かれたのは、そんな学問の芽を感じたからだったに違いない。