教室がバッチイと尾瀬の教訓



 11月27日のLHR「社会的マナーについて」は、急遽ディベート形式を取った機転もあり、盛り上がってよかった。「掃除」の問題に絞って議論をしたことも、かえって良かっただろうと思う。

 意外だったのは、教室の掃除をする必要があるかどうかで、「必要ない(つまりは汚くてもいい)」という側の人が僅か12人で、他の多くの諸君は、現状には問題があり、何とかすべきだと考えていたことだ。具体的な改善方法もいくつか出されたが、やはり話題になったことの一つに、ゴミ箱の少なさ、がある。

 私がここで思い出すのは、「尾瀬の教訓」である。尾瀬とはもちろん、福島・群馬・新潟にまたがる我が国を代表する高層湿原である。私は、仕事(山岳部引率)も含めてずいぶん繰り返し行ったが、何度行っても本当にいい所だ。

 この尾瀬が有名になって、大量の行楽客が押し寄せるようになった昭和30年代(1960年前後)、関係者はゴミ問題に頭を悩ませるようになった。設置したゴミ箱があふれ、湿原を汚し始めたのだ。対策が検討された結果、取られた策は、ゴミ箱を全て撤去するというものであった。ゴミ箱があるから人はそれをアテにし、あふれても、どうせ誰かが処理しに来るんだからと、ゴミ箱の周りにゴミを置いていく。ゴミ箱がいっそなければ、人はむやみにゴミを捨てたりせず、あきらめて持ち帰るに違いない。・・・鮮やかな発想の転換である。効果は劇的だった。ゴミは完全に消えた。これが、今では珍しくもない「ゴミ持ち帰り運動」の始まり、と言われる。

 クラスにもう1個ゴミ箱を、という声は強いが、私はこの例に従って撤去したらいい、と思ったりする。しかし、撤去されたら後はどうしようもない尾瀬と違って、隣のクラスにもトイレの前にもゴミ箱があるのだから、それらが我がクラスのゴミであふれたのではシャレにもならない。やるなら学校全体でやるしかないのかなあ。もっとも、先日のディベートで合意に達したいくつかのことさえ、その後一切実行に移されている様子がないのだから、所詮、本気で教室をきれいにしようなどという気はない、ということなのだろう・・・ね?