滝沢秀一のゴミの本

(2月9日付「学年主任だより№34」より)


 ついに授業もおしまい。
「つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを」(在原業平の辞世)
 過ぎ去った時間は常に速い。
 さて、この「学年主任だより」も、最近は少し偉くなって(?笑)、司書のK先生が、図書館入り口脇に掲示して下さっている。主に裏面で、関連する本の紹介付きだ。
 前々回、裏面でお笑い芸人兼ゴミ回収業・滝沢秀一のインタビュー記事を印刷しておいたところ、その滝沢の『このゴミは収集できません』(白夜書房)という本が塩高図書館にある旨紹介してあった。
 「面白そうだなぁ、読んでみたいなぁ、だけど、生徒が借りるのを横取りしたら悪いしなぁ」と、借りるのを憚っていたところ、手に取る生徒がいないということだったので、週末に借りて持ち帰り、家族全員で回し読みをした。
 さすがお笑い芸人!隅から隅までユーモアにあふれ、夢中になっているうちに、わずか1時間あまりで読み終わった。中に描かれている「ケシカランごみ出し人」の数々は、決して笑っていていいものではないのだが、ともかく、他人事として読む分には楽しい。
 それにしても、この本を手に取る生徒がなぜ1人もいなかったのだろう?普通科の総探でゴミ問題を取り上げた人もいたわけだし、3年生だけで350人もいれば、1人や2人はあの記事でゴミ問題に関心を持ち、滝沢秀一の本に反応する人がいてもよさそうなものなのに・・・。そういういろいろな機会を捉えては、本を読んだり、調べたりして、世の中は分かるようになっていくし、人生も豊かになっていくものだ。あぁ、「学ぶ人は何からでも学ぶ。学ばない人は何があっても学ばない。」といういつもの話に行き着く。


裏面:1月23日付日本経済新聞より「Inside Out」欄を貼り付け。見出しは「買うたび後悔、選択肢のワナ」「多すぎる品ぞろえ、食品ロスの一因に」。
平居コメント:結婚式の引出物から学校の授業まで、「選べる」ということが絶対の価値であるかのように言われる世の中だが、そこには落とし穴が・・・。どんなことでも価値を疑うことは大切。ただし、できるだけ科学的に・・・。


*諸般の事情で、これ以外の記事は省略。