自転車で都響!

 昨日は、久しぶりで雪が積もった。5㎝くらい。今日、牧山に走りに行くのは厳しいかな、と思ったが、晴れているし、あまりぬかるむ道でもないので行くことにした。珍しく、息子が一緒に行くと言う。今日はスケジュールいっぱいで忙しいので、初めて、家を8:15に出た(いつもは10時過ぎ)。
 山道の雪は残っているところが多い。山に入って間もなく、雪が積もると、いろいろな足跡が付いていて面白いことに気付いた。人の足跡もある。犬の散歩に来たようだ。意外に多いなと思ったのは、有蹄類の足跡である。鹿なのかカモシカなのかは分からない。全て山道を横切る形の足跡ばかりで、山道に沿って歩いたものは見当たらない。私もかつて、ここでカモシカに2度会っていて、このブログでも報告したのであるが、こうして見てみると、その数は相当なものであるようだ。
 午後は、マキアートテラス(市民会館)に東京都交響楽団の演奏を聴きに行った。原田慶太楼指揮、上野耕平(サクソフォン)、小曽根真(ピアノ)独奏という豪華版。これが、自宅から自転車で聴きに行けるのだからありがたい。しかも、このホールの「オープニング記念事業」のひとつということで多額の補助金が出ているらしく、ひどく安い。更に、コロナ対策ということで、座席はひとつおきに空席があってゆったりしている。
 原田慶太楼という人は、まだ30代半ば。とても優秀な若手指揮者だと聞いたことがあった。初めて実演に接することができるとあって、楽しみにしていた。上野耕平については前回聴きに行った時の記事を参照(→こちら)。小曽根真は、12月以来(→その時の記事)、わずか2ヶ月ぶりである。思えば、前回、石巻都響の演奏会に行った時の独奏者も小曽根真だった(→その時の記事)。
 プログラムは、上野独奏で「サクソフォンのためのカルメンファンタジー」(山中惇史編曲)、小曽根独奏でラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、そしてムソルグスキーラヴェルの「展覧会の絵」。
 カルメンが始まった瞬間(前奏曲ではなく、第3幕から第4幕への間奏曲から始まった)、曲想のためでもあるが、その威勢の良い音作りに驚き、これは「展覧会の絵」が楽しみだぞ、と思った。予想は的中。最もよかったのは「展覧会の絵」であった。ホールの都合もあるのだろうが、オーケストラが非常に良く響く。加えて、原田の若々しいと言うか、「気っぷがいい」と言うか、実にはつらつとした、威勢のいい指揮ぶりがすばらしかった。また、アルトサクソフォンパート(「古城」の場面)には、上野耕平が入っていたのだが、「カルメン」よりも独奏性が高くて、こちらの方が印象的だった。
 オーケストラが響きすぎるせいもあって、「カルメン」は肝心のサクソフォンが少し埋もれぎみ。ラフマニノフは、小曽根真が遊ぼう遊ぼうとするのだが、何しろ曲が遊びを許すようにはできていないので、なんだか空回り、少しちぐはぐな感じがした。あきらめるべき時にはあきらめた方がいい。
 独奏を伴う曲の後のみならず、「展覧会の絵」の後にもアンコールはなかった。地方公演としては珍しい。
 なにしろ、この新しいホールは音響的にも優れたホールなので、今後もこういう人たちが来てくれるといい。もちろん、大切なのは「経済」であり、収容能力(1200人)から言っても、石巻の市場規模から行っても、厳しいのはよく分かっているのだけれど・・・。