部活動についての提言(続)

 弱体化した現在の高教組で、ゼロから提言を作ることは難しいし、それを県教委にも受け入れてもらうことは更に難しい。幸い、平成25年に文科省、今年の3月に宮城県教委が出した「部活動についてのガイドライン(暫定版)」というものがあるが、これらのできが決して悪くない。従って、これらのガイドラインを、その精神まで含めて現場で守ることが出来るように指導を求める方がいいのではないかと考えた。これは、県も嫌とは言えない要求である。組合が県教委の指導を求めるというのも変な話だが、そこは柔軟に考える必要があるだろう。
 私たちが誤解して欲しくないのは、教員の多忙の原因だから部活動をつぶすとか、学校の外に移すとか考えているわけではない、ということである。部活動は、学校が関わっているからこそ節度を保てるということがあるし、部活動をしたい人には出来るだけのびのびと活動が出来るようにしたい。その一方で、やりたくない人にはやらない自由を認める、部活動をやりたい人が、そうでない人を否応なく巻き込むという状況は作って欲しくない。学校とは何のための場所で、教員は何をするのが仕事なのか、という原則を考え、授業と部活動の本末転倒が起こらないようにすることも大切だと考える。また、生徒の適切な課外活動がどうあるべきかということを考えるきっかけにもして欲しい。
 以上、修正案についての説明である。」


 執行部は、この修正案を活動方針として受け入れるという見解を示した。代議員(一般参加者)からは2名が、修正案に賛成する方向で発言した。そのうち一人は、修正案作りに直接関わってきたNさんなので、発言者は実質1人だった。執行部が受け入れを表明したことについての反論もなかった。当然のこと、最後の採決でも反対者はおらず、議案書の他の部分と一括して、全員の賛成により可決した。
 あまりいいとは思わない。この修正案に、少なくとも代議員は全員が賛成していたとは思えない。私が説明したとおり、少し前までは、仲間割れのきっかけになるから触れることさえ出来ない問題だったのである。たとえ、多少は社会問題化しているとはいっても、教員の中には「余計なことを言うな」という人は絶対に存在するはずである。異論がないことは、必ずしも円満を意味しはしない。嫌なのは、不満を持ちつつ会議の場で発言せずに、組織からの退会という道を選ぶことだ。会の終了後、グチをこぼしている人がいたことは、漏れ伝わってきた。
 今回の決定は、夏休みから始まる県教委との様々な交渉の場で、実際に提示されることになる。県教委が受け入れを拒みにくい内容にはしてある。しかし、ではガイドラインの周知徹底のために何が出来るか、何をして欲しいかと言えば、確かに難しい。「ガイドラインを守るように」という紙(通知)を1枚学校に送っただけでは、何ら改善は期待できない。かといって、研修の増えすぎ、特に「悉皆研修(一網打尽の義務研修)」を批判する組合としては、部活動顧問全員を集めて研修会をしろ、というわけにもいかない。各学校の部活動担当者や管理職を集めて研修し、各校内で徹底させよという伝達講習形式が関の山か、と思う。果たして、それさえも実施が可能かどうか・・・?
 それでも、今回の私たちの取り組みのみならず、世の中全体で大きく状況が変わりつつあることだけは間違いがない。しかし、どんな悪いことでも、無理に是正しようとすれば、プラスと同時にマイナスも生まれることがよくある。いや、「よくある」と言うより、大抵はそうだ。だから私たちは、「部活動の全入制」「大会参加の公欠」など、明らかに悪いと思われることについても直ちに是正を求めず、調査・検討と協議を求めるという形にしたのである。先の道のりは長い。(完)