部活動についての提言

 ラボ・トークの翌日、すなわち土曜日は組合の大会であった。ラボ・トークに参加していた高校教員のうち2名が我が家に泊まり、そのままみんなで1台の車に乗って仙台に向かった。
 私は議長であったが、議案書で触れられていなかった部活動について、以下のような修正案を出した。


「部活動を考える会」(有志)による修正案
 国際的な調査でも、日本の教員の多忙について、部活動が要因のひとつとなっていることを踏まえ、文部科学省によるガイドライン(「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書〜一人一人の生徒が輝く運動部活動を目指して〜」平成25年5月27日)や宮城県教育委員会によるガイドライン(「部活動での指導ガイドライン(暫定版)」平成29年3月)に沿った部活動指導を実現する取り組みを進めます。
(1)特に以下の各点を重点として、県教委に周知と指導を求めます。
・部活動は基本的に生徒の自主的・自発的活動であること。
・バランスの取れた活動(多様な目的への配慮、長すぎない活動時間、教育課程との関連づけ、発達段階に応じた活動)をすること。
・教職員のワーク・ライフ・バランスに配慮すること。
(2)また、更に県教委に、以下の事項についての実態を調査するとともに、その是非を検討し、組合と協議の上、適切な指導・改善を行うよう求めます。
・部活動の全入制。
・対外試合の数と規模。
・生徒会費や後援会から部活動への金銭的補助。 
・大会参加についての公認欠席。
・部活動を勤務評価の要素としていること。
・人事異動に際し、部活動を考慮すること。


 修正案の説明として話したのは、次のようなことである。

 「まず最初に、提案者である「部活動を考える会」が何かということについて説明したい。
 部活動は教員に長時間労働を強いるという点でも、過熱によって学校生活の本末転倒を生むという点でも、昔から問題だった。今に始まった話ではない。しかし、「一致する要求で団結する」という組合の活動原則との関係で、問題にすることが出来なかった。部活動を問題にすれば、仲間割れが生じるのである。
 しかし、この2〜3年、毎日新聞の落合編集委員や、名古屋大学の内田先生、宮教大の神谷先生などによって問題提起され、社会問題化してきた。教員内でも、部活動対策プロジェクトといった校種や組合員であるかどうかを問わない超党派的組織が活動するようになっている。
 このような情勢に加え、幸か不幸か、組合の組織率が下がることで、議論のしやすい状況も生まれてきた。だから、この2〜3年、私やN先生が、このような会議の場で問題提起ができたのである。
 しかし、その問題提起は「今後検討すべきである」というものであった。何か具体的行動を起こさなければ、永久に「検討しよう」という呼びかけで終わってしまう。具体的行動に踏み出すべきではないのか?考えた結果、私たちは昨年度の教育講座問題別分科会で、神谷先生を招いて、部活動問題についての学習と意見交換を行うことにした。分科会には21名が集まり、部活動を問題視している教員がいかに多いかということを実感することが出来た(→その時の記事)。
 大変よい分科会ではあったが、これも、そのままにしておいたのでは、永久に話は先に進まない。そこで、その分科会への出席者を中心に呼びかけ、4月と5月に、高教組に対して提言を行うべく意見交換を続けた。そこに集まっていたメンバーが「部活動を考える会」という有志集団である。(続く)