マーティー・キーナート講演会



 2月20日(火)1学年の進路講演会に、楽天ゴールデンイーグルス・チームアドバイザーのマーティーキーナート氏が登場したので聞きに行った。聞く所によれば、彼は「マーティー塾」と称して、県内の中学校を中心にボランティアでの講演活動を続けているという。1年生の中には、中学校時代に彼の話を既に聞いたことのある人もけっこうたくさんいたようだ。

1時間の話はとても面白かった。専属の助手が一人付いて来て、話の進行に合わせて、キーナート氏が指示しなくても画面を切り替えていくなど、万事手慣れていてソツがない。

 題は「文武両道日本になし」というもので、これは彼の著書のタイトルでもあるらしい。いろいろなスポーツ選手を例として挙げながら、1「ひとすじ」はいけない(二兎を追え)、2自信を持て、3あきらめずに努力せよ、ということを訴えた。1、2はありきたりで、3だけが日本人の一般的発想と異なると言えば異なるので、ここが話のミソだということになるだろう。日本では、勉強とスポーツが、少なくとも一流のレベルでは完全に分業化しているが、欧米ではそうではない。アメリカではscholar athleteと呼ばれ、学業+スポーツの実績のランキングが各大学から発表されるという。例が面白かったので、ごく簡単に紹介しておく。

*デビ・トーマス:黒人で貧困家庭に生まれたが、フィギュアスケート選手を志し、18才で世界チャンピオンになった後、医師となった。

*ゲイル・ホプキンス:日本でプロ野球選手として活躍(1970年代広島〜南海)しながら、毎日3時間勉強し、引退後2年で生物学博士、その2年後に医師。

*イアン・ウィリアムズ:ラグビーのオーストラリア代表。1988〜89年シーズンの世界ベストフィフティーンに選ばれたが、ラグビーをやりながら弁護士資格を取得した。

*マッド・ビオンディ:3回のオリンピックで11個(うち金8個)のメダルを取った水泳選手。引退後、大学院に進み、現在ハワイの高校で数学・理科の教員・・・等

 日本には同様の例を見出せないそうだ。あえて言えば、長谷川滋利か・・・とのこと。

 最後に質問の時間を取ったところ、多くの生徒諸君が手を挙げたのはよかったが、今年の「楽天」に関する質問ばかりで、キーナート氏が訴えた「人の生き方」とは無関係だったのが寂しかった。