津波の伝わる感動



 卒業式前日の、静かな休日の予定だった昨日は、我が家の近くの海岸に3mの大津波が来そうだということで騒々しく、甚だ落ち着かない一日になった。もっとも、昨日は朝から海が荒れ気味で、1m余りの波が打ち寄せていたので、津波を見たことのない私は、こんなに波のある日でも津波はそれと分かるのかなぁ、一度生で大津波というのを見てみたいなぁ、だけど我が家は高台にあるからいいけど、下の方の人たちは気の毒だなぁ、などと何とも複雑な気分でドキドキしながら、北上川の河口をあわただしく出て行く船など見ていた。

 結局、3時間以上に渡り、じっと海を見続けていて、私が目にしたものと言えば、およそ「波」とはほど遠い、若干の水位の変化だけだったのであるが、それでもあれこれと想像をふくらませては、退屈するということがなかった。

 飛行機に乗っても丸一昼夜かかる所から、津波はいくら直線で最短距離を来るとは言っても、それと同じ時間(むしろ短いかも)でやって来た。また、諸君も知っているとは思うが、波とは水の流れというより、エネルギーの伝達である。水の分子が小さな回転運動をしながら、しかも、太平洋上に浮かんでいる船には一切気付かれないように、2万キロ近くもエネルギーを伝えて来たのである。なんとも、感動的なことではないか!人に被害をもたらすかどうかが最大の関心事となるのは仕方がないにしても、せっかく大事に至らずに済んだのだから、そんなことに思いを致し、自然に対する畏敬の念を新たにするのも悪くない。


東日本大震災後の補足:上の文章で、私は「津波」を誤解していることが分かった。津波は、通常の波と違い潮の流れらしい。洋上の船は気付かないという肝心の点には影響ないので、そのままにしておく。)