卒業生と飲む



(7月13日付第2次月曜プリントより加筆転載)

 先週末は、以前私が勤めていた学校の卒業生2名が、我が家に泊まりがけで酒を飲みに来ていた。「2名」とは言っても、1人は前々任校、もう1人は前任校の卒業生である。年齢も10近く違う。2人が進学した大学のある街の、市民フットサルチームで偶然に知りあって、同じ宮城県出身者として親しみを感じ、身の上話をしているうちに、どちらかがふと私の名前を口にした。「平居?!」それは、彼らにとって共通の、珍なる人間の代名詞だったらしい。以来、意気投合した2人が一緒に酒を飲みに来るのは2回目となる。

 私は、卒業生だからといって、このような図々しいことを誰にでも許すわけではない。人柄の問題はもちろん非常に大きい。しかし、むしろ、私は「思い出話」にふけりに来る卒業生にはとことん冷たく、「今」を真面目に生きていて、学問や仕事、人生についての話が出来る卒業生は、全く対等な「親友」として遇するのである。

 私の家族が仙台へ行っていていないのをよいことに、彼らは我が家に20時間も滞在し、我が家の食料と酒の大半を消費し、いびきをかきながら昼寝までして、「あぁ、癒された!」などとのたまひ、悠然と帰って行った。まぁ、私にとっても刺激豊かな楽しい時間だったので文句はないのだが・・・。

 ふと考える。諸君の中からも、5年後、10年後に、そうして私と語り合う人間が生まれるのであろうか?今の、あまりにも単純で幼稚な諸君を見ていると、とてもそんなことが起こるような気はしないけれど、一方、実は、心のどこかにそのような期待を捨てきれずにいるのも確かだ。そう、私は諸君にそのような期待を持っているのだよ・・・。