唐招提寺!…京都・奈良家族旅(1)

 予告通り、年末、1週間ばかり京都・奈良へ行っていた。必ずしも予告通りでなかったのは、娘と二人ではなく、家族全員で行っていたことである。およその動きは次の通り(・・・は徒歩。時刻は時刻表ではなく、遅延早着を含む実際の時刻)。

12月24日:仙台港12:50−(フェリー)
12月25日:−10:20名古屋港−(友人の車)−名古屋駅11:11−(ひかり465号)−11:47京都12:41−(JR普通)−12:57大津京・・・近江神宮−(京阪電鉄)−石山寺−(同)−浜大津・・・大津16:57−(JR普通)−17:06京都
12月26日:・・・方広寺・・・清水寺・・・建仁寺・・・祇園四条−(京阪電鉄)−伏見稲荷・・・伏見稲荷大社(頂上まで)・・・伏見稲荷−(京阪電鉄)−祇園四条・・・新京極(和泉式部墓)・・・錦町市場・・・東本願寺
12月27日:京都−(地下鉄)−二条城前−(同)−太秦天神川嵐電天神川−(京福電鉄)−嵐山・・・常寂光寺・・・化野念仏寺・・・天竜寺・・・渡月橋・・・嵐山−(同)−四条大宮・・・西本願寺
12月28日:京都9:08−(JR普通)−9:36宇治・・・平等院・・・宇治11:51−(JR快速)−12:18奈良・・・近鉄奈良−(近鉄普通)−西ノ京・・・唐招提寺・・・薬師寺−(タクシー)−平城京朱雀門・・・大極殿=佐紀町−(奈良交通バス)−JR奈良駅
12月29日:・・・興福寺・・・東大寺・・・春日大社・・・元興寺・・・JR奈良駅13:50−(奈良交通バス)−16:45名古屋駅17:00−(あおなみ線)−17:24金城ふ頭・・・名古屋港19:00−(フェリー)
12月30日:−16:20仙台港

 小6の娘と小2の息子が百人一首に熱中している。加えて娘は歴史ファンでもあるので、1年ほど前に、中学校に入るまでに京都に連れて行ってやろうと約束していた。息子はまだ小さいので、何を見ても記憶に残るとは思えないが、一緒にいると面白いので「おまけ」として連れて行った。百人一首の聖地・近江神宮藤原定家小倉百人一首の選定をしたと言われている小倉山=時雨亭がある常寂光寺など、見学先の半分以上は娘が選んだ。後の半分弱は、どうせなら娘に見せておきたいと思った場所や、妻と私の希望、なんとなく、といった理由による。年末だったため、二条城と時雨殿(嵐山・渡月橋近くにある百人一首博物館)は閉まっていて入れなかった。娘は「また来なくちゃ」と、うまいことを言う。
 私は高校が兵庫県なので、京都の大学に進んだ同級生も多かった。そんな都合で、学生時代から京都には何度となく足を運んでいる。就職してからは、仕事(修学旅行引率)でも行く機会があった。鞍馬や高雄、比叡山といった周縁部も含めて、京都はかなりの場所を見て歩いたつもりであった。ところが、近江神宮石山寺伏見稲荷を訪ねたのは初めてである。特に、伏見稲荷に行ったことがなかったというのは、我ながらびっくりだ。平等院は40年ぶり、念仏寺だって30年ぶりくらいである。
 一方、奈良は自分自身でも訪ねる機会がほとんどなかったし、修学旅行で行っても泊まることはなく、京都から観光バスで日帰り旅行だったので、東大寺春日大社薬師寺法隆寺しか訪ねたことがなかった。興福寺だって、バスの窓から五重塔をちらりと見たことがあっただけである。その結果、街の中を歩き回ったのも、唐招提寺興福寺元興寺平城京を訪ねたのも初めてだった。これまた、我ながらびっくり。唐招提寺なんて、修学旅行で必ず行く薬師寺のすぐ隣なのに…。日本は広い!!
 私が最も美しいと感銘を受けたのは、唐招提寺である。一番新しい建物でも鎌倉時代の建築である上、大きさを誇るような建物や、仰々しい意匠の建物がなく、どれもがシンプルですっきりしている。凛とした静けさと気品とがあって「格調が高い」という形容がこれほど似つかわしい寺は、京都にもないのではなかろうか?これを鑑真という高僧の持つ厳しさや純潔性の表れと言うのは、言い過ぎであろうか?観光客が少なかったということもあるが、寺で仏をではなく、寺そのものを拝みたくなるような寺だと思った。(続く)