野球界の体質・・・筒香選手えらい!!

 昨日の話は早速中断。
 そう言えば金曜日、選抜高校野球の出場校が決定した。宮城県からは古川高校という学校が、21世紀枠の東北地区代表としてノミネートされていたが、残念ながら落選。候補になっていなかったら気楽なものだが、いざ候補になった上、確率1/3で落選となると悔しさは相当なものだろう。かえってかわいそうだな、と思った。校長もよく知っている人格者だし、教員の知り合いも多いので、ぜひ甲子園に行かせてあげたいとは思っていたが、どうしようもない。
 ところで、高校野球といえば、高知商業高校を高野連が処分するという話があって驚いた。多くの人が言っているようだが、私も意思表示をしておこう。
 同じ学校のダンス部の公演で、500円の入場料を取っているから、高校球児の商業的利用に当たるとして処分だというのは、あまりにもバカげている。商業的利用というのは、文字通り営利のイベントに協力し、あるいは報酬を受け取ることを意味するだろう。おそらくは会場費等に当てられるであろう500円を商業行為と見て処分とは、硬直した精神以外の何物でもない。しかも、春夏の甲子園大会にしても、その予選にしても有料である。甲子園大会なんて、500円どころか、確か高い席だと2000円もするし、マスコミからスポーツ用品業界から教育産業まで、高校球児を商業利用している人たちなんて正に五万といるではないか。
 日本サッカー協会元会長の川淵三郎氏もそれらしきことを言い、かなり強く高野連を批判していたが、野球をするとなれば野球以外には何もしてはいけないというような体質が、野球界(部活、スポ少)にはある。拘束時間の異様な長さがそれをよく表す。この絶対服従的な根性、本当に止めてくれないかな、と思う。僧衣による運転で切符を切られた先日の福井のお坊さん(→こちら)でもそうだが、高野連にしても、福井県警にしても、これらのような権力の横暴こそ批判しなければならない。
 更にところで、野球といえば、なかなか痛快だったのは、DeNAの筒香嘉智選手が少年野球、高校野球について行った発言である。1月16日の「東洋経済ONLINE」、26日の「日刊ゲンダイDigital」から少し引用する。

「答えを指導者や親が与えすぎるので、子供たちが指示待ちの行動しかできないということ。自分から動いて、何か行動を起こすということが凄く減ってきているのではないかと思います。」
「1つ負けたら終わりのトーナメントは、勝ちたいという気持ちが強くなります。そうなると変化球も多くなるし、ミスをできないという戦いがかなり続いていくことになります。そして、試合に出ている子供たちは何試合も続くので、体の負担が多くなります。一方で、出ていない子供たちは面白くない。せっかく野球を始めたのに、いろんな経験を積むことができないという弊害があります。」
「高校生が甲子園に出てやっていることは、あれは部活動です。高校の部活に大きなお金が動いたり、教育の場と言いながらドラマのようなことをつくることもある。新聞社が高校野球を主催していますので、子供にとって良くないと思っている方はたくさんいると思いますが、(メディアは)高校野球の『悪』というか、子供たちのためになっていないという思いをなかなか伝え切れていないのが現状かなと思います。」
「指導者が勝ちたくなる気持ち、いろいろ教えたくなる気持ちはわかりますが、それが将来の子供たちのためになっているかと言えば、なっていないと思います。指導者も、親も言いたいのはわかりますが、そこをじっくり我慢し、見守ることが大事ではないでしょうか。」

 日本のスポーツ選手や芸能人は、体制に逆らう発言をすることにとても臆病である。筒香選手の発言は、あくまでも野球のあり方についてのものだが、それでも「現役のプロ野球選手が、ここまで踏み込んだ発言をするのは極めて珍しい」(「東洋経済ONLINE」)のだそうだ。一流のプロ野球選手は勝ち組の中の勝ち組なので、現状の問題が見えていない場合もあるだろう。そんな中で、このような本質的な指摘をはっきりとするのは偉いと思う。3番目の引用なんて、高知商業高校の件との関係で高野連には痛い話だろう。第2、第3の筒香選手が現れるといい。