衆議院議員選挙が終わった。選挙の後には気の滅入る私であるが、今回はそうでもない。最低限、踏みとどまったな、と思う。主語は「国民」である。
「与党大敗」とは言っても、多くの裏金議員が当選し、中には、「無所属」と書いてあって一見自民党には見えない萩生田光一とか、西村康稔、更には除名された世耕弘成といった人もいるから、手放しには喜べない。
第一党しか当選できない小選挙区制度の弊害は本当に深刻である。というわけで、開票結果を載せた新聞を見ながら、こんなことを考えてみた。
自民党が当選した小選挙区で、対立候補が2人以上いた選挙区をピックアップし、2位以下の得票数を合計して、当選した自民党候補の票数に届くかどうかを調べてみる。すると、2位以下の合計が自民党候補者に届かなかった選挙区が52、上回った選挙区が63であった。ここには、上の萩生田、西村、世耕の選挙区を含まないから、それらを含めると、後者が66になる。つまり、野党候補が一本化されていれば、野党の議員は更に66増え、自民党は66減ったということである。66変わると、野党が300議席を超え、絶対安定多数をはるかに上回ったわけだから、やはり野党共闘が実現しなかったのは惜しい。
埼玉、東京、兵庫、福岡で特に連立できなかったことの弊害(票の分散)が大きかったようだ。4人が立候補して自民が勝った東京10区は、1位と2位の差が591票、5人が立候補して自民が勝った富山1区は1位と2位の差が731票だったから、これらなんか野党候補が1人でも降りていれば、自民党を勝たせなくて済んだのにと、残念この上ない。
それでも、私はよくそれで済んだなと思っている。開票結果をじっと見ていると、私が先日書いたように、自民党を勝たせないために、政策云々をとやかく言わず、一番勝てそうな野党候補に票を入れるという考え方をして一票を投じた人が、かなり多くいたように思われるのだ。立民と共産が競合した選挙区142のうち54選挙区で、自民ではなく、立民が勝ったということや、維新の後退に、それがよく表れているように思う。
また、もう一つ興味深く見たのは、自民党支持者のうち、比例区で自民党に票を入れた人が7割に満たなかった、というデータである。自民党支持者が、なぜ自民に一票を入れなかったのか、私には分からない。
公明党も含めた「与党大敗」は嬉しいことだが、ここから先はまったくもって前途多難であること、野党の面々も含めて誰もがよく分かっていることと思う。議席数からして、立民と維新が連立しない限りは、今の野党から首相が出る可能性はない。そしてそれはほとんどあり得ない。野党同士のかみ合わせは甚だ悪く、感情的な事情まで含めると、なおのこと歩調を合わせるのは大変だ。しかし、ここでゴタゴタしてしまうと、「あれこれ問題はあっても、やっぱり頼りになるのは自民党だ」となってしまう。
私は、せめてこの悪しき選挙制度(小選挙区制度)の改正で一致して欲しいなぁ、と思うのだが、それは経済その他の緊急課題に比べれば(前回=こちら、に引き続き確認しておくと、私は経済問題についての考え方が全ての政治家と逆なので、それが本当に大切な課題だとは思っていない)、本末の「末」とせざるを得ない問題である。
私にできることなど何もないのであるが、関心を持って見ていきたいと思う。