生きていればこそ、の幸せ



(第2次月曜プリント=宮水バージョンの月曜プリントから補筆して転載)

 私は今、書道愛好会の顧問ということになっているが、もともとの専門は登山(山岳部)である。実は、いろいろな事情があって、私は一昨年まで勤めていた仙台市内某高校山岳部のコーチという肩書きを持ち、今でも時々生徒と山に登っている。この週末は、コーチとしての今年度最初の山行であった。1名ながら、念願の新入部員も入り、「新歓山行」という看板を掲げて、一同ハイテンションで山に向った。

 予報通りに雨は降り、雨が降ると山道はとても滑りやすくなる。にもかかわらず、今回はコシアブラという山菜の採取も私個人にとっては重要な目的だったために、コシアブラの木ばかり気になって足元を全然見ずに歩くので、危ないことこの上ない。が、ともかく無事に下山することが出来た。

 震災以来、環境が悪いのと埃っぽいのとで、なかなか体を動かす機会がなかったが、これほどまでに体力が落ちているとは思わなかった。土曜日の夜にうっかり飲み過ぎたこともあってか、1年生の新入部員に配慮してたいした山を登ったわけでもないのに、本当にくたびれた。一方、雨は不愉快なものだが、その中でぼんやりと見える新緑の森は最高!!花も、雨が降っていると、花びらの内側から光があふれ出しているように見える。こういうのを「風情」と言うのであろう。晴れていても、これと同じ光景が見られるならそれに越したことはない。しかし、雨の不愉快に耐えなければ、間違いなくその「風情」を味わうことは出来ない。

 先週の学年集会で、学年主任のS先生の話にあった、「生きているからこそ、苦しいことも楽しいことも味わえる幸せ」という言葉も思い出したことであった。