小さなことに全てが表れる



(5月29日付け学級通信より)


 早いもので5月も間もなく終わり。求人票の閲覧が始まるまで1ヶ月である。

 さて、この1ヶ月あまり、朝読書の時間に、私が大きな水色の冊子を読み続けていたことに、諸君が気付いていたかどうか・・・?栽培漁業類型のM先生が、1980年以来、教員となって以来33年間に渡って書いてきた、38本のレポート(論文)をまとめた冊子である。先生は、自分に課題を課さないと真面目に勉強しないから、と言って、研究費の申請や発表の約束をしながら自分を追い込み、万石浦界隈の海洋生物を材料としていろいろな研究を続けてきた。その成果が、私が手にしていた3冊の水色の本である。一昨日、ようやく一通り目を通し終えた。

 重厚な研究もさりげないレポートもあるけれども、日頃学校に身を置く人間として、仕事の合間にこのような研究を続けることの大変さがよく分かるので、読みながら、背筋の伸びるような畏敬の念を感じ続けていた。大きな声を出すことも、鋭い目でにらむこともない穏やかな人だけど、こういう人こそ、私にとっての「恐い」人である。

 思うに、人から言われたり怒られたりしながら勉強するのは「下」である。まして、利益で釣られたり点数で脅されたりしながらする勉強は「下の下」だ。本物(「上」)の勉強は、自分自身の内側から湧いてくる問題意識や疑問によって行われる。しかし、それは凡人には難しい。そんな時、自分を叱咤激励してくれるのが、こんな人の存在だ。「中」の人間は、こういう先生の背中を見ながら勉強する。思えば、人生のいろいろな場面で、私はそんな人と出会ってきた。幸せなことである。


【小さなことに全てが表れる・・・個人面談・その1】

 予告通り、個人面談が進行中である。昨日までで、ちょうど半分が終わった。何の話をするかもともかく、諸君が部屋に入って来てから出て行くまでの立ち居振る舞いの全てが、諸君の約18年間を反映していて面白い、と思いながら見ている。

 制服を整え、「失礼します」と言って入って来て、「よろしくお願いします」と頭を下げる人、終わった時に「ありがとうございました」と言う人もいれば、何も言わずに、のそ〜っと入ってくる人、引いた椅子も元に戻さず、何も言わずに出て行く人、「もういいの?」と言って席を立つ人、もいる。本当に、家庭での教育(しつけ)や本人の意識というものがよく表れていると思う。会社で就職試験の面接を担当している人も、話の内容ではなく、きっとこういう所を見ているんだろうなぁ・・・と想像する。

 こう書けば、俺は大丈夫、それは平居の面談だからそうなるのであって、就職試験ともなれば、服装も整え、礼儀作法もしっかり練習していくさ・・・と思っている人はとても甘い。何を練習・準備しても、それが付け焼き刃であることくらい、私や面接官には絶対に分かるし、緊張して、しっかりやろうと思えば思うほど、ボロは出るものだ。どんなことでも、日頃から基本を地道に身に付けることは大切だ。

(進路アンケート結果省略)

奨学金手続きに関する話、略)


(裏面:5月20日付け『朝日新聞』より、「ロボットが住む未来〜機械はどこまで人に近づけるか」を引用。

平居コメント:なし)