世代間の「一票の格差」



(5月9日付け学級通信より)


 連休後半の初日、5月3日は憲法記念日であった。現在の日本国憲法が1947年5月3日に施行されたことによっている。憲法は今年で66歳になったのだ。今年の憲法記念日は特別であった。このところ、憲法改正を訴える政治家がたくさんいて、7月の参議院議員選挙の結果によっては、初めての憲法改正発議が行われる可能性があるからだ。報道や集会は例年になく盛んであった。ここで問題・・・

 Q1 憲法とは何か?(憲法は何のためにあるのか?)

 Q2 なぜ憲法を変える必要があるのか?(どのように変えようという意見があるのか?)

まずはこのふたつで十分だろう。私なりの答えはあえて書かない。やっぱり平居は偏っているとか、生徒を自分の色に染めようとしているとか言われると嫌だからね。社会の先生?いや、大人なら誰でも答えられないと本当は困る問題だ。誰かに聞いてくれ。

 ところで、たいていの人にとって政治は知らない世界の話なのだろうけど、例えばこんな話を聞いたらどう思う?(5月5日付け『朝日新聞』「まなあさ 若者の意見を政治に届けるには」という記事に基づく)

 昨年12月の衆議院議員選挙で、20代の投票率は38%、60代の投票率は75%で、約2倍の開きがあった。「少子高齢化」という言葉もあるとおり、もともと60代の人口が多いので、それらを投票者の数に直すと、20代は509万人、60代は1366万人となって、2.5倍以上の差になる。もちろん、当落は率ではなく数で決まるので、少なくとも次の選挙までの間、政治には20代の意見より60代の意見が2.5倍以上反映されることになる。すると、老人に有利な決定が行われるはずだ。例えば・・・

・年金は今もらっている人に多くし、今の若者が将来受け取る時の金額は少なくする

・国の借金は1000兆円到達を目前にしているが、返すのは若者(今の小中高校生だけでなく、これから生まれてくる子供も含む)なので、もっと増やしてもいい

といった考え方に基づいた決定だ。上の二つなど、空想的な「例」ではなく、ほぼ現実通りの実例である。

 これでも政治は諸君にとって他人事だろうか?しかも、困ったことに、人口バランスが悪いため、仮に20代が全員投票したとしても、60代の75%に数の上で及ばない。こうなると、問題は、ただ単に投票率(=政治に対する意識)の問題ではなく、「少子化」や各世代の意見をバランスよく政治に反映させるための「選挙制度」の問題だ、ということになる。地域ごとに存在する「一票の格差」という問題は、世代間にも存在するわけだ。難しく、面倒くさいことだけれど、逃げずに立ち向かわないと、最後に苦しい思いをするのは諸君である。憲法の問題も、そんなことの延長線上にある。


タンポポ面白〜い!!・・・いい遠足だった】

 雨の心配も無く、暑すぎず寒すぎず、素晴らしいコンディションに恵まれて、とてもいい遠足になった(遅刻1、欠席1は残念!)。先頭を歩いていたE3担任・某先生の実力か(?)、ちょうど3時間で、全員トヤケ森山の頂上に立つことが出来た。12キロあまりという距離を考えると、これはなかなか立派なことである。文句を言いながらも、みんなそれなりの充実感を得ることが出来たのではないかな?やっぱり、自然の中を長い距離歩くのはいい。

 ところで、頂上で解散後、先生たちは石巻平野の素晴らしい景色を見ながら、みんなで和気藹々と昼食をとり、諸君から少し遅れて下山した。私は道すがら、M先生からタンポポについての説明を聞いていた。M先生は、栽培漁業類型の先生であるが、自然全般について博識な大先生で、私は日頃から深い尊敬を持って接している方である。私も、この地域に咲くタンポポに、西洋タンポポと日本タンポポの2種類があることと、その見分け方は知っているつもりだったが、他にエゾタンポポという種類があって、それがトヤケ森山には多いのだそうな。道端にたくさん咲いているタンポポを教材に、その見分け方やら、成長して綿毛(種)を飛ばすまでの間に、どのような変化が起こるのかというようなお話を聞かせていただき、とても勉強になった。

 諸君にしてみれば、「どーでもいー!」とか「バカじゃねぇの?」というような話かも知れないけれども、やっぱり、知識が増え、世界が広がるのは、純粋に楽しいことだと思った。徒歩の遠足でよかった。


(以下の記事略)


(裏面:4月28日付け『読売新聞』より、「大学応援団 女子の時代」を引用。

平居コメント:大学でも高校でも、多分、実情は同じ。私は男子校(男子クラス)大好き!なぜなら、そこがほとんど唯一、男が女の尻に敷かれる姿を見なくて済む場所だから(笑)。こんなことを言いたくなるくらい、どこへ行っても本当に女は強い。「女だてらに〜」とか「男のくせに〜」という言い方は男女差別に基づく、と言う人もいるけれど、著しくバランスを欠いている時、そんな言葉も必要になる。男子高校生諸君よ、奮起せよ!!)