近づく「初選挙」

(4月28日付「学年主任だより№4」より①)

 

 日曜日は、石巻市長選挙の投票に行った。同じ日、塩高3年生が住んでいる場所の中では、東松島市で市会議員の選挙が行われた。日本の選挙制度では、現在18歳から投票権が与えられることになっている、というのは諸君も知るとおりだが、その「18歳」が次のように定められていることは、案外知られていない。
 「18年目の誕生日の前日の午前0時から満18歳とする。」
 つまり、今回の選挙の場合、2003年4月26日までに生まれた人に選挙権が与えられた。塩高に来ている生徒の非常に少ない地区ばかりなので、実際に投票権を得て、「初選挙」に行った人はいないようだが、諸君にとって選挙というものが一気に身近に感じられるのではないだろうか?
 次は、8月1日に仙台市長選挙。そして10月か11月(期日未定)には衆議院議員選挙(解散された時にはもっと早まる)と宮城県知事選挙が行われる。その時には、諸君の中からも「選挙に行ったよ」という人が出てくることだろう。
 5月26日のLHRでは、宮城県選挙管理委員会による選挙講話を行う。


裏面:2020年1月8日付け朝日新聞「多事奏論」欄(国分高史筆)を貼り付け。見出しは「魅惑のくじ引き議員 ただの初夢ではもったいない」
平居コメント:1年以上前の記事だが、選挙を話題にした記念に(?)紹介しておこう。
 民主主義と言えば多数決で、それを象徴するのが「選挙」だというのは、もしかすると「常識」なのかも知れない。だが、実は「民主(国民が主体)」と「選挙」はそれほど必然的に結びついているわけではない、あるいは今の選挙制度が健全なる民主主義を作る上で不都合だ、という声が数年前からだんだん強まっている(と私には思われる)。そもそも、日曜日の石巻市長選、東松島の市議選は、どちらも投票率が50%をわずかに超えただけ。約半数の有権者が棄権した。
 この新聞記事、おそらく諸君にとっては少し難しいと思うのだが、そのような選挙制度の問題点とその克服の方法について、斬新な指摘が多々なされている。分からない言葉の意味を調べながら、少し手間をかけて読む価値があるだろう。
 5年あまり前に出版され、評判になった『多数決を疑う-社会的選択理論とは何か』(坂井豊貴著、岩波新書)は、記事の中で紹介されているレイブルックの本よりも一般的で、しかも良書だ。政治学、法学などを大学で学びたい人はもちろん、他の人も、主権者になる以上読んでおいた方がいい。