「もう57日しか」か「まだ57日も」か?

(11月11日付け「学年主任だより№25」より)


 衆議院議員選挙の結果を受けて、一昨日から臨時国会が始まった。そんなニュースを見ていると、衆議院議員選挙がずいぶん昔のことに思われてくるが、まだ先週の話である。
 そういえば、先週の月曜日、授業に行ったクラスで、投票に行った人がどれくらいいるのか手を挙げてもらったところ、選挙権を持っている生徒の8割以上が手を挙げた。先週火曜日に総務省が発表した速報によれば、10代の投票率は前回の衆議院議員選挙の投票率を上回ったそうだが、しょせんは43%(前回は40.5%)。ただでさえも低い投票率(今回は56%)を遙かに下回っている。君たちは偉い!!
 しかし、日頃現代文の授業をしていても、小論文の添削をしていても、面接の練習をしていても、投票に必要な情報をしっかりと手に入れ、世の中を理解できているようには見えない。新聞(これに勝るメディアは存在しない=個人的意見)を読むこと。いや、読めるようにすること。やっぱり、どうしても勉強は必要だ。


【「もう57日しか」or「まだ57日も」?・・・学年集会大復習】

 授業をつぶしてまで行った異例の学年集会。私が冒頭で言ったことは本心である。
 すなわち、今回は諸君の日常生活(気の緩み)について「お小言」を言うための集会だった。ところが、集合が早く、手間取ると思った整列にも苦労しなかった。見ると、いかにもお行儀の良い高校生といった感じで座っている。私は、すっかり出鼻をくじかれてしまい、「お小言」を言うファイトが失せてしまった。身だしなみ検査に時間がかかると思ったので、時間も気になった。というわけで、一応考えていた筋書きは頭から消え、言い残しもいっぱいある、痛恨の「お話」になってしまった。
 しかし、抜き打ち的に書いてもらった「まとめ」によれば、話はよく聞いてくれたことが分かったし、気持ちを切り替え、気を引き締め、そしてまた各自なりに考えたことがあったようでよかった。作文を読みながら、その健気さ、真面目さに涙が出そうであった。

《話の要点》
・最近、服装の乱れ(主にスカート)、欠席の多さが気になる。
・卒業までの登校日数は、今日を含めてわずか60日。過半の生徒の進路が決まった今、それによって気が緩むことのないよう、気持ちを引き締めたい。
・幼い子どもは、何かを食べたいと思った時、その食べ物のことしか考えられなくなるので、肘のところにあるコップを倒して水をこぼす。周りが見えない(=自分の都合しか考えられない)というのは、精神の未熟を表す。
・バイト先や就職先で、制服の着こなしでトラブルになったという話は聞いたことがない。学校でなら許されると思うなら、それは学校をバカにした話ではないか。
・諸君は美しく、かわいい。人柄のせいでもあるが、若いからでもある。若さは必ず失われる。若さを失った時に美しくあり続けるためには、内面(優しさ、誠実さ、教養など)を磨くことが必要だ。外を飾る人はますます厚化粧が必要になるが、内面が美しい人はすっぴんでも美しい。
・受験届け、自動車学校入校等、手続き書類の事後提出が多すぎる。
スマホは登校から放課後まで使用禁止だ。わずか7時間、スマホを触らずにいられないのは依存症であり、道具に人間が使われている状態だ。道具を使える人間になりたい。
・人間は楽な方向に流れる生き物で、一度流れると元に戻すのは難しい。そんな人間の性質についての問題意識を持っていた方がいい。
・けじめのある前向きな高校生活を送り、お互いに気持ちよく卒業式を迎えたい。

 諸君の「まとめ」によれば、「卒業式までの登校日数60日」に衝撃を受けた人が多かったようだ(今日だと57日)。現在、この57日は、少なくとも私にとって(おそらく他の先生も同様だと思う)「諸君と過ごせるのがもう57日しかない」貴重な時間だ。しかし、諸君が高校生としてあるまじき生活をすると、「諸君から解放されるまでまだ57日もある」長い時間になってしまう(これは、諸君の側から私たちの言動を見ても同じことを感じるだろう)。お互いに「もう57日しかない」時間を過ごそう・・・ね。


裏面:7月31日付け読売新聞より「解説 文化庁『匠プロジェクト』」を貼り付け。見出しは「文化財修理 原材料足りず」。
平居コメント:諸君は、昨年2度に渡って見た西本願寺修復工事の映像と、そこで指摘されていた伝統文化(技能)継承の問題を覚えているだろうか?(←記事が大きかったのでスペースがなく、これだけ。)

 

*これら以外の記事(来週の学年レクリエーションに関するもの)は省略。