自然災害・公害・自衛隊



 私は、一年間を平均すると、石巻は全国で最も気候のいい場所なのではないかと思っている。35度を超える日や、マイナス5度を下回る日がほとんどない。夏場は、最高気温が仙台よりも2〜5度低い。冬場は、特に寒い日に限って仙台より2度くらい気温が高い。雪もほとんど降らない。偉大なる海のおかげだと思う。この数日は、晴れても雨が降っても、20度代の前半という日が続いている。今、私がいる部屋の温度は21.7度だ。

 一方、テレビのニュースを見ると、毎日「猛暑」のニュースをやっている。その日の最高気温はどこそこの39度とか38度とか、何人が熱中症で救急搬送され、何人が死亡した、とか・・・。大変だろうなぁ、と思う。ちなみに、先週は、全国で熱中症のために救急搬送されたのが10913人で、そのうち16人が死亡だそうだ。今日のNHKニュースでは、今年に入ってからの熱中症による死者が83人とかで、もはや立派な「自然災害」だと言っていた。う〜ん、確かに・・・、と思いかけて、やっぱり違うぞ、と考え直した。

 私は、兵庫県で高校時代を過ごした。夏は猛烈に暑く、35度は当たり前、30度であれば、9月いっぱいは続いていた。それでも、やはり今の方が暑いのだろう。地球上の気温というのは、自然な変動や偏りが必ずあるものらしいので、軽々に判断するわけにはいかないのだが、「温暖化」の影響を否定するのはなかなかに難しいのではあるまいか?

 となれば、これは「自然災害」ではなく「人災」だということになる。日本軍を自衛隊と言い、特定の企業が汚染水を流し、ガスを排出し、もしくは自家用車が増加した結果として引き起こされた環境問題を「公害」と言うのと同じことで、「自然災害」というのは巧妙なごまかしの言葉だ。猛暑と地震は違うのである。それをどちらも同じ「自然災害」という言葉でくくるのは、責任の所在を曖昧にするための方便に過ぎない。これは実によくない。

 確かに、「温暖化」ではないかも知れない。しかし、それが人類の生存に直結する問題となっていれば、大事を取って対策を講ずるというのが、当たり前のことではないのか?しかし、これだけ、「温暖化」が具体化していると感じられるようになっても、やはり人間は手を打とうとしない。もちろん、経済へのダメージを危惧し、地球上の多くの国々の中で、自分たちだけが真っ先に損をするのは嫌だ、だから率先して経済を縮小させられない、という思いに基づいている。だが、ことはそんな悠長なことを許すようには見えない。経済活動を大減速させ、必死でブレーキを掛けても、その結果はすぐに表れるとは限らないものである。自家用車を乗り回し、いい気になってLCCを飛ばし、炎天下に自動販売機を並べておく訳にはいかないのである。

 今週末は参議院選挙。しかし、もちろん争点にはならない。