ペットボトル1本150万円なり



(8月29日付け 学級通信より)


 一昨日は、私もイプシロンなる新型ロケットの打ち上げを楽しみにしていた。もちろん諸君も知るとおり(?)、発射19秒前になってシステムトラブルのため延期になってしまったのだけれど、まぁ、近いうちにまた打ち上げられるさ。

 ところで、イプシロンの何が「新型」かというと、目玉はコストだそうだ。38億円というのは、目の玉の飛び出るほどの、想像も付かない値段だけど、従来のロケットの半額らしい。ところが、このロケットで宇宙に運べる物は1.2トンだという(!)。1.2トンというのは、私が乗っているFit1台とちょうど同じである。100万円ちょっとの私の車を宇宙に届けようと思えば、38億円(3500台分)の経費がかかる。このコストをは、1キロ当たりに直すと300万円あまりとなる。おお〜〜っ!!宇宙空間では500ccのペットボトル1本が150万円以上するのだ。従来のロケットなら約300万円である。宇宙ステーションでは、水も本当に貴重品で、おしっこも再利用するなどというのは当然だな、と納得する。

 宇宙に物を運ぶのがどうしてこんなに大変かというと、地球の引力(重力)があまりにも大きく、それに逆らうことが難しいからである。もちろん、そんな巨大な引力に耐えて生きていながら、私たちは日頃その存在を一切意識していない。ロケットを飛ばすことの大変さから考えて、気付くというだけである。ロケットも私たちも、なんだかスゴイな、と思う。


【「ありがとう」に言い過ぎはない】

 ヒジュンが専門学校に合格した。昨日は、ナオも短大合格が決まった。

 一昨日全員に話したことだけど、進路が決まったら、必ず出来るだけ多くの先生にお礼を言いに行くこと。人間は自分一人では生きられず、日々多くの人のお世話になっている。学校はそのことを非常に実感しやすい場所だ。進学にしても就職にしても、進路の決定という、人生のある重要な一場面において、そういうことを自覚し、きちんと態度で表せるかどうかによって、諸君の人間性は評価される。○○先生の所には行った方がいいか・・・?などと迷うくらいなら、全員の所に行った方がいい。そういうものである。いや、先生だけではなく、クラスのみんなに頭を下げて歩いてもいいくらいだ。「ありがとう」は、言い過ぎのない言葉だ。ただし、口先だけの「ありがとう」には意味がない。上のようなことを自覚し、本心として語ること。


(他の記事省略)


(裏面:8月26日『毎日新聞』より、「加熱する〈憎悪〉〜 ヘイトスピーチ「おかしい」中高生 抗議の原動力」を引用。

平居コメント:言葉には「内容」もあるが「言い方」もあって、どちらも思いを伝え合う上では重要だ。また、いじめの問題と同じで、人を悪く言う人には、必ずその人の心の弱さがある。過激な言葉を使う人ほど、心が弱く、その心をごまかそうとする、ということだ。世の中の基本は自由と平等なのだけど、人間の生き方の基本は、やっぱり「逃げない」ということであり、究極の「逃げない」は「自分の弱さから」なのだな。)