萎縮と効率化の結果



 「豪雨特別警報」というのが発令され、学校は臨時休校となった。夜中、3:20に防災無線(放送)で繰り返しアナウンスが行われ、うるせえなぁ、とは思ったが、肝心の雨の音はさほどうるさくなかった。石巻に関して言えば、特別に異常な雨は降らなかったと思う。

 高校が休校するかどうかは、JRが動いているかどうかとほぼ連動する。小中学校と違って通学区域が広いので、JRが動かなければ学校に来られない生徒が多いからだ。このこと自体は仕方がない。

 私が出勤する時間帯には、雨はますます小降りになっていた。地盤沈下で道路が冠水しがちな石巻でも、不安を感じることなく出勤できた。学校に着いてから、JRの運行状況を確かめると、仙石線高城町(松島)〜石巻は15時頃まで、高城町〜仙台は終日運休と書いてある。えっ!どうしてそんなに?と思う。午後になって雨もやみ、薄日が差してくるに順って、その思いはますます強くなった。

 私は今日、仙台で人と酒を飲む約束があるので、電車が何時に動くのかはひどく気になったのだが、JR東日本のホームページはなかなか更新されず、「15時頃まで」というあやふやな表現は、長くそのままになっていた。詳細を問い合わせたいと思うが、実は最近、駅の電話番号を知ることは至難である。

 ここにも、現在の社会は集約的に表れている。まず第一に、何か問題が起こった時の社会的非難があまりにも激しいために、JRは電車の運行に極端なまでに慎重になっている、ということだ。電車を止めることで受ける非難よりは、事故があった時に受ける非難の方が数段厳しいことは、容易に想像が付く。その結果、会社は萎縮し、過剰防衛とも言うべき態度を取るようになる。これは「安全第一」とは少し意味が違うだろう。

 また、経営の効率化、利潤の最大化を目指す結果として、駅員の数は減らされた。駅員が減ったことよりも、無人駅の増加にこそ、そのことはよく表れている。仙石線(駅数31)という都市型路線でも、終日無人という駅が7、石巻線(駅数13)というローカル線では過半となる7ある。駅員のいる駅でも、日中だけという駅が多い。こうなると、電話対応の余裕などない。ホームページか自動の音声案内ということになってしまう。

 これらの結果が、「電車がなかなか動かない」であり、「駅に電話で聞けない」なのだ。JRの問題であると同時に、社会の問題である。

 石巻〜仙台の高速バスはどうなっていたか?宮城交通のホームページに運行状況はアップされなかった。その代わり、営業所の電話番号は公開されていて、こちらは問い合わせができる。しかし、回線は混み合う。私は今日、5回掛けてようやくつながった。

 バス会社の方が人間的だな、と思うが、どちらも結構面倒くさく、会社が効率化を目指した結果として、利用者にはひどく非効率だ。社会的損失は結構大きいな、と思う。これは仕方ないことなのかなぁ?結局、電話がつながって、早くはっきりした見通しの立ったバスで出向くことにした。