検証・仙石東北ライン(1)



 先週末、3日間続けて仙台を往復して、一つのことが気になった。それは、仙石東北ラインの利便性の問題である。仙石東北ラインの開通から半年が経ったところで、少しその善し悪しを検証しておこうと思う。

 一応確認しておくと、JR東日本に、仙台(あおば通)と石巻とを結ぶ仙石線という支線がある。なぜか東北本線(交流)とは異なる直流電化路線で、わずか50キロ弱の間に29もの途中駅があって、基本的に、東京の京浜東北線や山手線で使われていた古い電車を使っている。いわゆる「国電」なのである。海岸近くを走るものだから、東日本大震災で大きな被害を受けた。特に、陸前大塚〜陸前小野は被害が甚大で、長く不通になっていたが、その区間を内陸に移設したりしながら、今年5月30日に、4年2ヶ月ぶりの復旧を果たした。その際、高城町の近くに接続線を作って東北本線に乗り入れられるようにし、快速列車は全て、松島以北は仙石線、以南は東北本線を走るようになった。それを「仙石東北ライン」という。事前の報道では、それによって仙台まで50分で出られるようになるということだったが、その時に思ったことは既に書いた(→こちら)。現在、石巻から仙台に行くには、仙石東北ラインの快速列車、仙石線普通列車、高速バスという三つの手段がある。

 さて、この3日間、私は次のようにして仙台と石巻を行ったり来たりしていた。

金曜日:往路 快速列車  復路 高速バス

土曜日:往路 高速バス  復路 快速列車

日曜日:往復とも 快速列車

 それぞれにメリットデメリットがあるからこのようなことになる。ちょっと整理しておこう。表現は仙台を起点としたものにする。一覧表に出来れば分かりやすいのだが、面倒なので長々と書くことになる。悪しからず。

1)高速バス

 所要時間は1時間15分〜20分だが、鉄道に比べると定時性は低い。最終便が仙台発で普通列車より1時間半、石巻発で2時間半以上早いというデメリットもある。ただし、イオン石巻と仙台駅の間をノンストップで走る(途中の町=塩釜や多賀城には行けないというデメリットでもある)、定員制である(必ず座れる。以前は積み残しということもあったが、仙石線復旧後はない)、10枚綴りの回数券を買っておくと片道700円(一般的な往復割引券なら750円)で、鉄道の往復割引切符(Wきっぷ)より70円(20円)安い。イオンの駐車場に車を駐めさせてもらえる(パーク&ライド)といったメリットもある。また、バスは始発が基本的に石巻の営業所で、終点が県庁前なので、それらの停留所の近くに用事がある時は便利だ。私が金曜日にバスで帰ってきたのは、酒を呑んで寝ながら石巻に帰るには、定員制でノンストップのバスが快適だからであり、土曜日にバスで行ったのは、組合の事務所(県庁前の停留所から徒歩10分、駅からなら歩くのは大変で、バスか地下鉄利用=お金が余計に掛かる)に行く用事があったからである。

2)仙石線普通列車

 所要時間は約1時間30分で、バスよりも遅いが、定時性は高い。約1.5キロ刻みで駅があるので、途中の目的地に行く時の利便性は高い。仙台〜石巻の移動には、高速バスや快速列車が動いている時間帯ならメリットがないが、朝は5時から、夜は10時50分まで動いている(東塩釜行きなら0時過ぎまで)のは大きなメリットだ。

3)仙石東北ライン(快速列車)

 ピカピカのハイブリッド車である。東北本線松島駅近くの接続線を通って、北は仙石線を、南は東北本線を走る。東北本線仙石線の電化方式が違うために、基本がディーゼルハイブリッド車にしたということだが、かなり昔から交直両用電車というのはあったのだから、なぜそれを使わないかは不明である。

 仙石線あおば通駅ではなく、仙台駅から発着する。石巻までの所要時間は、55〜65分だが、これが出来たおかげで、多賀城や塩釜に行く快速列車がなくなり、仙台〜松島海岸については逆に不便になったとも言える。朝は6時26分から、夜は8時23分で終わり。


 これらから考えると、仙台〜石巻を移動する場合、早朝深夜以外は仙石東北ラインか高速バスを使うことになるが、早さだけを考えるなら快速列車ということになる。しかし、バスにもいろいろ捨てがたいメリットがあって、一概に快速列車の勝ち、とは言えない。

 さて、今回、土曜日は泉区のイズミティ21(地下鉄泉中央駅と直結)というコンサートホールからの帰宅で、日曜日に行った映画館は、地下鉄長町南駅の隣であった。このことで、実は、快速列車が仙台駅始発であることが、案外デメリットとして大きいということに気付いたのである。(続く)