破綻は早い方がいい・・・日銀の新政策



 なんとなく作文する気にもならず、1週間近くが過ぎた。1年生の書道の授業で、月に2〜3回、「天声人語」の書き写しというのをやらせている。初めて書き写しをさせる時、「天声人語」とは何かという解説をする。年に340日あまり、毎日きっちり603字のコラムを書き続ける。それを何人でしているかといえば、2人らしい。しょせん「コラム」なので、いいものを書いてもそれほど褒めそやされはしないだろうが、間違ったことや、一部の人が神経質になる問題(戦争責任、死刑、現政権の批判など)を扱えば、袋叩きになりかねない。いわば「注目の圧力」に耐え続けるだけでも容易でない。私などには絶対に出来ない、過酷なお仕事だと思う。苦しいだろうなぁ。それを思うと、書く気になれないから書かないというのは本当に「幸せ」だ。

 まとまった記事にはならないが、思ったことを少しだけメモ風に書いておこう。

昨日、日銀が「マイナス金利」の導入を決めたというニュースが駆け巡った。とうとうここまで来たか、と思う。「日銀 金融緩和強化 バズーカ不発 市場失望」「日銀の異次元緩和限界」(河北)、「国債買い入れ迫る限界 緩和補完策 日銀、見えぬ出口」(朝日)、「政策先行き不安視」「市場、追加緩和に懐疑論」(毎日)などなどの文字が新聞に躍ったのは、わずかに1ヶ月ほど前(12月19日)のことである。その時の記事には、IMFの研究員が、日銀の国債購入について、「このペースで買い進めれば、2017〜18年に限界が来る」ともある。

 そして、今回のびっくり仰天「マイナス金利」だ。頭のいい人達ってバカだなぁ、というのが私の感慨。無理をすればするほど、そのひずみは大きくなり、破綻の際の衝撃も大きい。早く降参して、バンザイすればいいのに・・・。そもそもの問題は、経済成長が実現するという発想だ。石油を始めとする資源は減る一方、世の中には物があふれ、欲しいものを探すのに苦労する状況、発展途上国との格差も小さくなってきた。成長とは、生産量をどんどん増やすことなのだから、実現するはずがないのである。

 先月21日だったか、中国の「新華網」を出所として、中国ではGDP目標達成のため、建てて間もないビルを取り壊すなどして、毎年4600億元(8兆6000億円)の無駄を出しているというニュースが出回った。中国に行くと、どうして壊しているのか分からない、あるいは建てかけで工事を中断しているといったビルをよく見る。だから、さもありなん、と思う。しかし、それを「無駄」というのはマシな感覚で、GDP目標達成を基準に考えれば、無駄でも何でもない。なんだか経済成長の本質が現れているような記事だ。日本だって、それほど露骨ではないかも知れないが、似たようなものだ。東日本大震災後の復興・復旧工事なんて、正に経済政策。必要もないどころか、後世にとっては間違いなく負担となる大規模工事を、これ幸いと乱発した。私には、中国のビル破壊とさほど違うことには見えない。

 いつも言うことだが、責任は首相でも日銀でもない。国民である。あれほどメチャクチャな手続きで、憲法違反の新安保法を成立させても、安倍政権の支持率はほとんど落ちない。目前の利益だけを大切にする心性が、今の政権を支えているのである。なに、経済を守るためなら、国民は戦争だって何だって支持するさ。もちろん、政府は極めて巧妙に、その戦争がやむを得ないものであると演出するはずだから・・・。

 あれれ、日銀の新政策についての話だけで終わってしまった。また明日。