志賀高原(続)

 1月3日、目が覚めると雪が5㎝ほど積もっている。朝食を摂っていると、妹が「今日も箱根だ」と始まった。そこで私は、延々と続くテレビからの避難もかねて、元日の続きというわけでもないが、志賀高原の偵察に行くことにした。今回は、岩沼市、大師側からである。さすがに、そこ(片道10㎞弱)まで走って行くのはつらいし、実家には自転車がない。そもそも、雪のおかげで足下が非常に悪い。横着して車で行く。
 大師のバス停脇に車を止めた。ここには昔、温泉が湧いていて、大師温泉という宿があったのだが、しばらく前に廃業し、今は建物もない。名取市中ノ沢や愛島台の登山口と違い、岩沼市側には大師と中井に「志賀高原ハイキングコース」という立派な案内板が建っていて、コース地図が書かれている。これを見れば、大師、中井から三方塚にかけてのルートは一目瞭然だ。
 岩蔵寺に寄ってみたいという気持ちもあったので、大師から山道に入らず、県道を中井まで下り、そこから入ることにした。登山靴を石巻から持ってきていないので、長靴着用。

 大師10:20→中井→10:50岩蔵寺→大滝→11:15牛道峠→11:30三方塚(外山方面偵察)11:55→12:25県道(岩沼・村田の峠=旧養蚕センター)→12:40大師(途中休憩なし)

 登山道は明瞭で、道標も整備されている。岩蔵寺は素朴で古びた小さなお寺である。本堂正面の石段には鳥居があって、神仏習合のお寺であることをうかがわせる。「大滝」はどこに滝があるのか分からなかった。三方塚(330m)は名取市岩沼市、村田町という三つの市町の境にあるから三方塚と言うらしい。そこに至る道標には、三方塚という地名が必ず書かれていたのに、いざ着いてみるとそれを示す看板はなく、丸太の標柱があり、上部に三つの市町名がそれぞれの方向に向けて書かれているだけである。見晴らしはまずまずだ。外山方面に100〜200mほど偵察に行き、「外山まで0.5㎞」という標識の所から、南に尾根をたどってみると、愛島台が驚くほど近くによく見える。我が家から愛島台までと大師まででは、ずいぶん距離が違うように思うが、実は案外近いものだな、と思った。
 雪は一番深いところで7〜8㎝。やはり平野よりは少し多い。三方塚までは薄日も差し、風も弱かったのに、帰路、尾根道をたどっていると急に吹雪き始めた。風も強まり、木に積もった雪も落ちてくるので、見た目にはなかなかの猛吹雪である。2時間ほど山中にいて、さすがに誰とも会わなかった。
 たかだか300mあまりの里山である。雪だって10㎝未満だ。それでも、雪の山はいいものだな、とつくづく思った。人がいなかったせいもあるだろうが、本当にしんとして静かである。風景としても一丁前に雪山の美しさが感じられる。1000mを超え、数mの雪が積もり、樹氷ができるような山には、もちろんそれなりの魅力があるのだけれど、里山里山で魅力的だ。
 今日歩いた所にも、地形図に載っていない山道や踏み跡がいくつか見られた。雪のせいで、それらが本当に山道なのかどうか判然としなかったことだし、他にも見逃した踏み跡があったかも知れない。志賀高原に限らず、時間があれば、冬場に少し里山を歩き、調べてみようか。