今の季節、朝、新聞を開くと、高校野球地方予選の結果にサッと目を通す。今朝は、母校が兵庫県大会の2回戦で負けたことを知り、軽く哀しい気持ちになった。しょせん部活動の1試合、商業主義的な傾向も強く、私が嫌がる「大人のための部活動」という雰囲気もあって、「高校野球がどうした?」みたいな気分もないわけではないが、何しろ、他県にいて県予選の結果が分かる部活動の大会がこれしかないこともあり、郷愁や懐旧の情とも連鎖反応を起こして、母校の結果は気になるのである。
そんな今日、宮城県では、2回戦、仙台市民球場の第1試合に今の勤務先・石巻工業高校が登場した。やることはいろいろあったのだが、かわいい生徒たちがいっぱい出ているし、相手はなぜかシード校にはなっていないものの、昔から仙台育英と共に「二強」と言われてきた東北高校だし、ちょっと遠いけど応援に行くかと、妻と二人で7:30の電車に乗った。
いやぁ、びっくり。すごい試合だった。1回表に1点先制し、裏に追いつかれ、4回裏に3点取られて、ここからずるずる行くのかと思っていたら、5回に1点、7回に2点取って追いつき、4対4で9回を終えた。タイブレークとなった延長10回にサヨナラ負け。タイブレークになると後攻がどうしても有利な気がする。生徒は悔しかっただろうが、本当に素晴らしい試合だった。
私が副担をしているクラスのEが、1年生ながらファーストで先発出場し、5回からはマウンドに立ってこの好試合を引っ張った。5回3分の0を投げて、被安打わずか3で無四球。打者としても3打数1安打。1回戦でも猛打賞だった。身体の小さな生徒だし、教室で見ていると、1年でレギュラーになれる子にはどうしても見えないのに・・・びっくり!3年生が3人しかいない、1、2年生ばかりのチームだということもあって、来年がとても楽しみだ。
勤務校に気を取られすぎていて、同じ会場での第2試合以下がどんな組み合わせかなど全然意識していなかったのだが、会場に着いてから、第2試合が仙台一高対利府であることを知った。仙台一高はかつての勤務校で、昨年度は選抜大会の21世紀枠で東北代表に選ばれたという実績がある(惜しくも全国で落選)。利府はスポーツ科学科を持ち、2009年に21世紀枠で選抜大会に出場してベスト4(今でも21世紀枠の最高記録では?)、2014年には夏の大会に出場した公立の雄である。これは見ないわけにはいかない、と、そのまま球場にいることにした。
試合はあっけなかった。仙台一高が11対0、7回コールドで圧勝した。仙台一高はよく打つし、守備にもまったく危なげがない。勝てば明日も試合があることを踏まえ、エース温存で王者の試合だった。敗れた利府にしてみれば、コールド負けは屈辱だろうが、仙台一高が強すぎたのである。帰路、妻と「育英がいなければ一高たぶん甲子園に行くよ」などと話していた(育英がいても行くかも知れない)。
なにしろ3連休の中日、相手が利府だということもあって、一高は現役生のみならず、OBも全国から集結するのではないか?と思ったのだが、応援席は案外人が少なかった。しかも、応援は「ぼろラン」姿(=旧制高校風の弊衣破帽)の応援団ではなく、野球部のベンチ外メンバーのリードで行われる。少し寂しい感じがした。
しかし、そうなるのも、ベンチ外メンバーが多いからである。これまたびっくり!調べてみれば、一高の野球部員数は61人。実に41人がスタンドからの応援である。見れば、ベンチ入りメンバーに1年生はおらず、2年生が4人入っているだけで、あとは全て3年生だ。なるほど、この層の厚さあってこその強さなのだな、と納得する。明日は第4シードの東北学院榴ヶ岡高校が相手。この勢いで勝ち進めるといい。