鉄道事情(駆け足東南アジア②)

(②となっているが、8月17日に第一報をupしているので、そこから読まないと分からないこともあるかも知れない。ご承知置きいただきたい。)

【チケットの予約】
 今までこのブログを読んで下さっている方はご存じと思うが、私は「乗り鉄」もどきである。「もどき」と付けるのは、世の中の「乗り鉄」を見ていて、私なんかはその末席にもいられないというのがよく分かるからである。私の場合、どこかに行くついでに寄り道してみるとか、多少便利な交通手段があっても、あえて鉄道で行く、というのが関の山である。わざわざ鉄道に乗ることを目的として旅行をする、ということは、ほとんどない。あるとすれば、○○線、△△鉄道が間もなく廃止される、というような時に、それらに乗りに行くという程度である。
 東南アジアを旅行するに当たっても、できるだけ鉄道を利用したい、という気持ちはあった。それで、バンコクを起点にした日帰り旅行(アユタヤ、メークローン)に加えて、バンコクからクアラルンプール、そしてベトナムのフエからハノイまでを鉄道利用とした。マラッカに寄り道しなければ、クアラルンプールからウッドランズ(シンガポール)までも鉄道にしたかったが、ダイヤがあまりよくない上、やはりマラッカくらいは行ってみたかったので、その間はあっさり諦めてバスにした。それもまた「もどき」の証拠である。
 インターネットという文明の利器のおかげで、今や海外から鉄道の予約ができる。駆け足旅行の人間にとって、これは本当に助かる。しかも、日本と違って2ヶ月か3ヶ月も前からだ。ところが、これがくせ者。簡単に予約できたのはタイ国鉄だけである。マレーシア国鉄ベトナム国鉄は、ホームページから簡単に予約画面に進むことができて、申し込みの作業をすることはできるものの、決済が上手くいかない。クレジットカード(クレカ)で決済できることになっているのだが、なかなかできないのである。どうやら、海外で発行されたクレカではダメらしいのだ。となると、「VISA」のような国際認証って何なの?という話になる。
 ところが、ベトナム国鉄の場合、何度か挑戦してみると、何かの都合で「success」の画面になることがある。すると、お金は引き落とされるのだが、予約は進んでいないらしく、Eチケットは送信されてこない、という現象が起きる。恥ずかしいことに、私はこれを2回やってしまった。ベトナムの決済会社にメールで問い合わせても、そのメールは跳ね返されてきてしまうので、住所を調べてお手紙を出したが、今のところ返信も返金もない。合計で1万4千円ほどを捨てた形になっている。悔しい。向こうだって、真面目に経理をしていれば、変な入金があったことに気付くはずなのに・・・。それがベトナムということか?
 Baolauという鉄道予約サイトがある。このサイトは、ベトナムだけでなく、タイ国鉄でも、マレーシア国鉄でも簡単に予約ができる。ベトナムのフエ~ハノイ、2等寝台で6000円ほどの切符を買うのに、1500円ほどの手数料がかかるが、無理なことをしてお金を取られることから思えばよほどいい。私の場合、マレーシア国鉄は、娘がマレーシアの銀行で発行したクレジットカードを持っていたので、バンコクからではあるが、容易に予約ができた。しかし、通常日本から旅行する時には、このサイトを使うしかないだろう。

【鉄道の実際】
 さて、8月5日、バンコクからアユタヤを往復した。切符は乗車の30分前でも簡単に買えた。急行の指定席券である。しかし、立っている人もけっこういたから、直前だと立ち席になったのかも知れない。エアコンなし、3両編成のプラスチック製ボックスシートディーゼルカーである。途中、ドンムアン(国際空港)に止まるだけで、後は狂ったように走る。エンジン音がものすごくうるさくて、娘と日本語で会話をするのもままならない。翌6日のメークローン往復も、車両事情は同様だが、こちらはさほど速く走らないので、騒々しさはかなりマシだった。しかも、車内はガラガラ。運賃は、1時間あたり普通列車で45円、急行で90円と格安。
 同じ6日、国境行きの急行列車に乗った。2等寝台下段、エアコン付きで約4000円である。日本のかつてのA寝台車とほぼ同じで、通路を挟んで平行に1mあまりの幅のベッドが並んでいる。乗った時には座席仕様で、夜になると、係のおじさんがベッドにしてくれる。ベッドそのものはとても快適。トイレもきれいだが、駅に止まっている時にトイレに行くと、下に枕木が見えている。私が小学校時代の日本の国鉄も同様だった。なんだか懐かしい。車内販売も頻繁にあって、弁当でも果物でもおやつでも入手可能だ。
 車内が快適なのはいいのだが、メチャクチャによく揺れる。バンコクの新しいターミナル駅である、クルンプ・テート・アピワット駅から国境の駅パダン・ベサールまでは990km。これを15時間55分で走る。表定速度は62km/hに過ぎなのだが、保線の関係だろう。夜中、私は列車が脱線→クラッシュするのではないかと思い、おちおち寝ていられなかった。
 一転、マレーシア国鉄は新幹線である。きれいな特急電車で、だいたい140km/h前後(車内に電光掲示)のスピードで快適に走る。日本の新幹線と違って高架やトンネルはないが、同様に踏切は存在しない。ほぼ満席だ。いかにもイスラム教国家・マレーシアだと思ったのは、車内に「お祈り部屋」があることである。中を見てはいないが、おそらく1~2名しか入れないだろう。列車は進む方向が変わるので、常にメッカの方向を向くというのも難しい。お祈りの時間は決まっているはずだから、こんな中途半端にお祈り部屋を作って意味あるのかな?と思った。売店のようなところがあって、弁当や飲み物を売っている。
 ベトナム寝台列車はコンパートメントで、2段式の寝台だ。これもタイ国鉄同様、とても清潔感があって快適である。タイ国鉄と違って、座って景色をのんびり眺めているにはほどよい速度で、揺れもさほど強烈ではないのだが、ベッドに寝ているとやはり寝苦しさを感じるほどの揺れである。日本の車両と保線技術って本当に優秀なんだなと感心した。540kmを14時間半で走るので、表定速度は37km/hに過ぎないが、車内の表示によれば70km/hくらいで走っていた。いくら停車時間が長めとは言え、このずれはよく分からない。
 ベトナムで乗った列車は、40分遅れでフエに入線し、25分遅れでハノイに着いたが、それがいつものことなのかどうかは分からない。タイ、マレーシアの鉄道は時間通りに動いていた。なかなか立派だ。(続く)