蟻地獄に落ちた週末



 先週末は、私にとって今月唯一の本物の「連休」であった。折しも、我が石巻でも桜が開花し、水仙も満開、いまだに梅も満開とあって、我が家が一年で最も美しい数日のうちの2日間を自宅でのんびり過ごすことができたのは、結構なことであった。

 ところが、妻がテーブルの上に置き放しにしていた「ナンプレ」なるもの(本)を手に取ってしまったことから、間違いが始まった。一寸やってみようか、という出来心を起こしたところ、妻に「一番簡単なのからにしなさい」と言わた。「俺をバカにするのか?」と言葉を返して、二番目にグレードの高いものに手をつけたが、2時間かけても解けない。そしてますます意地になり、やがては失意と挫折感、屈辱感にうちひしがれ、「よし、この挫折感から抜け出すためには、最もグレードの高い問題を一つクリアーすることだ」などと考えて、結局半日を費やして更に大きな挫折感を味わうことになった。ついに腹を立て、「お前がこんな所にこんなものを置いておくからだ!」と妻を責めてはみたものの、「ごめんなさい」などという話になるわけがない。

 妻が口元に冷たい笑いを浮かべつつ、その本を片付けてから3時間、私はもはやそんな本があったことさえ忘れつつある。悪戦苦闘の末、「ナンプレ」が今週末最大の問題と化していたのがウソのようだ。まあ、日頃大切に思っていることの大半はこんなものなのであろう。他に、人のやっていることをバカにしていると痛い目に遭う、何かを始める時は自分の性格と能力をよく考えろ等々、多くの教訓だけは得られた。天気も良く、花と海の美しい週末であった(汗)。