東大入試研究会



 先週末は、某予備校主催の「全国公立高校東大入試研究会」なるものが、東京の予備校本校で開かれ、G先生と多分何かの間違いで私が出席した。『学年の手引き』を持ち出すまでもなく、日頃から受験勉強については「そんなこと学校でギャーギャー言うようなことではないから、勝手にやれよ」式の冷たい言動が多いので、洗脳、もとい、矯正、いや教育のために平居を、ということだったのかもしれない(笑)。

 ところが残念ながら(?)、「饅頭こわい」ではないけれど、私は予備校(特に東京の本校)へ行くのが大好きなのである。なぜなら、私達が予備校へ行った時、講師として私達の目の前に現れるのは、たいていの場合、その予備校のトップ講師だからである。星の数ほどもいる講師の頂点にいる人というのは、決して安っぽい受験テクニックやパフォーマンスを目指したりはしない。受験業界といえども、一流はやはり一流だと感心させられるだけの見識を持ち、その言動は学問の本質に忠実なのである。また、大学も同様。特に、ハードルとしてどのようなものを設定しようとも、必ず受験生が集まることの分かっている東京大学という所は、決して受験生に迎合することなく、理念を持ち、手間を惜しまず入試を行っている真の一流大学だと思う。一流の講師がそれについて語る時、話が面白くないわけがない。

 今回は、科目別に分かれず、出席者全員に対して、国数英の講師が話をした。そのため、各教科の問題の具体的な解説よりも、東大入試の理念に関する話が多く、なおのこと面白かった。三人が共通して繰り返していたのは・・・(1)東大は知識ではなく知恵を求める(だからといって、知識は必要ないというのは大きな誤解。高校レベル以上の知識を求めるわけではない、ということ)、(2)自分の思い込みを排除して、物事を素直に、ストレートに見ることが出来る人を求める、ということだった。また、そのような力を付けるための授業論として彼ら(特に英語の講師)が言っていたことは、手前味噌な言い方で申し訳ないが、私が授業でやってきたこと、言ってきたこととほとんど重なり合っていた。

 余談であるが、私が予備校に行くたびに感心することに、黒板の美しさというものがある(まぁ教室自体もなんだけど)。黒板掃除の専門家がいるので当たり前だが、環境の美しさは勉強するために必要なことだと、やっぱり思う。