偉大な行為と人間味・・・ダニエル・ミッテラン氏



 今日の新聞に、ダニエル・ミッテランという人の訃報が載った。「ミッテラン」という名前を見てすぐに思い浮かぶ通り、15年前に亡くなった元フランス大統領の夫人らしい。

 『河北新報』の記事(国際面)は『朝日新聞』よりも詳しくて、読んでいて面白かった。以下、抜粋。


 「第2次世界大戦でフランスがドイツに占領された際、レジスタンス(対独抵抗運動)に合流した。」

 「1992年7月、G7の時に「夫人外交」を欠席し、イラク北部のクルド人地区を訪問。爆弾テロに遭遇したが、危うく難を逃れた。」

 「1996年1月、夫の死去の際、葬儀に夫の元愛人と娘を招待。式典に両者を丁重に迎え国民の強い支持を得た。」


 夫である元大統領が、政治家としてどの程度の人だったのか、私には評価できないが、この人は「大統領夫人」という影のような存在ではなく、独立し、骨のある魅力的な人だったんだろうな、と想像される。気になったので、ネットで検索できる範囲で、どんな人だったのか調べてみた。確かになかなか立派な人権活動家なのであるが、面白いことに、この人にも愛人がいたらしい。夫の葬儀の際に見せた寛大この上ない行為は、自分にも愛人がいたからこそ出来たことのように思える。そうなると、「寛大」と評価するほどのことでもないような気がしてくるが、逆に、人間味はぐっと増す。事跡を一つ知るごとに、人物評価も変化する。そんな自分の心の揺れ動きも面白い。